?.変化を求められる日本の医療と医学・看護
看護はどう変わるか
これまでアメリカの医療の大きな変貌についてやや詳しくお話ししてきましたが,それはこの変化がアメリカの看護を良くも悪くも新しい場面へ向かわせていると思うからです。
日本では長い間,保助看法によってナースの業務は厳しく制限されていました。しかし,医療の現場は何歩もあるいは何百歩も先を行っています。
チーム医療の必要性は既に常識になっています。一日にわずか5分か10分しか患者と接触する時間をもたない医師よりも,一日24時間継続して観察をつづけているナースのほうが患者の状態を把握しているのは当然です。したがってナースは患者のバイタルサインを観察し,変化に機敏に対応し,どの時点で医師の診察を要請するか,どのような情報を医師に報告するかなど,冷静に判断しなければなりません。ナースに求められる能力は格段にレベルが高くなっているのです。
従来の看護教育では不十分ということで看護大学の設立が各地で企てられていて,ここ20年のうちに看護系大学は10校から61校に増え,しかも修士課程を設置しているところも少なくありませんし,博士課程を設けているところが5校もあります。
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