どんなときも希望を見つけて

医療法人惇慧会外旭川病院
相原智江美

　

はじめに

　当院に緩和ケア病棟を開設することが決定してから、準備委員会を設け、施設見字に行ったり勉強会を開いたりしながら開設準備を進めてきました。病棟にも、末期がんの患者さんが入院してくるようになったのですが、私は緩和医療というものにほとんど知識を持たないまま看護をしていました。苦痛を訴える患者さんを目の前にして、｢これでよいのだろうか。もっと他にしてあけられることはないのたろうか｣と考えたとき、自分は緩和ケアや症状コントロールについての知識が不十分なことに気が付きました。そのために医師とのコミュニケーションもうまくできず、納得のいく看護もできず、患者さんは苦しいまま亡くなっていくということを繰り返していました。これから緩和ケアに携わっていくために、緩和医療の基礎を学び症状コントロールについての知識を深めるとともに、看護婦の役割を理解し、実践できる能力を身につけたいと考え、この研修に参加させていただきました。

　

研修目標

　1)緩和医療の基礎を身につけ、実践できるようにする。
　2)症状コントロールについて知識を深める。
　3)進行がん患者の心理とその援助について学ぶ。
　4)家族への援助について学ぶ。

　

研修で学んだこと

　目標1)については、今まで漠然と[緩和ケアとはこういうものだろう｣と考えていたのですが、講義を聴くことによって自分の中で具体的なものにすることができました。
　緩和ケアとは、身体的苦痛を緩和するだけでなく、心理的・社会的・霊的な苦痛へも援助が必要であること、そのために私たち看護婦は、がん看護と症状コントロールについての知識を持たなければならないこと、コミュニケーションの技術を持つこと、相手を受け入れられる柔軟性を持つことか必要であること、そして患者さんだけでなく、家族に対しての援助も大切なことだと学びました。
　緩和ケアは一人ではなく、チームで関わるものであり、チームワークをよくすることが患者さんとの信頼関係にも影響してくるということを忘れてはならないと思いました。
　また、国立療養所東京病院緩和ケア病棟での実習を通して、HIV/AIDSに対する緩和ケアを学ぶことができ、緩和ケアは末期がん患者さんだけのものではないことにも気づくことができました。
　緩和ケアの基礎を学ぶことによって、自己の施設における緩和ケア病棟の位置を明確にし、きちんとした理念を持つことが必要であると感じました。
　目標2)については、自分の知識不足を痛感させられました。
　腫瘍学では、かんの成り立ち、基礎知識から診断、治療までを学びました。患者さんの病状や進行状態を知り、それに合わせた症状コントロールをしていくためにも、がんの発生要因や症状、治療法を知っておかなければならないと思いました。
　疼痛コントロールの講義では、痛みに対する基本的な考え方から薬物療法の具体的な使用方法まで詳しく学ぶことができました。治療を医師だけに任せるのではなく、私たちも薬物の効果と副作用を知り、痛みのアセスメントと評価をしていくことによって適切な疼痛コントロールができると思います。モルヒネの投与経路とそれぞれの特徴、副作用についても詳しく知ることができました。また、NSAIDsによる疼痛治療法や効果的なレスキューの投与方法も知ることができました。　ペインコントロールにおける看護婦の役割は、痛みに関連したアセスメント、薬物療法におけるアセスメントと介入、非薬物療法におけるアセスメントと介入、患者　家族への疼痛緩和に関する教育であることを学びました。痛みに対しては、ペインコントロールの目標を把握し、継続的にアセスメントしていくことが大切だと思います。薬物療法では、効果と副作用のアセスメントをし、副作用対策を実施していくことが必要です。非薬物療法には、体位の工夫や、温・冷罨法、マノサーシ、リラクゼーション等があり、患者さんの状態に合わせて介入していけたらよいと思います。それと同時に患者さんや家族に対して、痛みや薬物　非薬物療法について教育をしていかなければならないと思います。

　

　

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