聴講者のメモから
「環境から見た21世紀」
○人口の低位定常時代、変動時代、高位定常時代
・ローマクラブ報告の立場=地球人口はまっすぐ増加しつづけるという予測から地球は維持できない
・世界の人口はいつかピークを迎えて、後は定常化に向かうというのが主流の考え方。
・1930年代にアリゾナで大量のシカが死んだ例では、全体を賄える餌が不足したためではなく、その個体数を維持するだけの可能性がなかったため。(動物のもつ倫理生活による―シカやオオカミや人間の差)
○世代間の生存権侵害
?廃棄物の累積(資源の限界より廃棄の限界)
?生態系の不可逆的劣化(砂漠化、自然生態の減少)最近は環境ホルモンが大きな問題になってきた
?生物種の絶滅・減少
?資源の枯渇(石油の埋蔵量等)―いずれもスケールの大きい地球的規模の問題である。
○環境倫理学の提唱と環境倫理学の原則
・自由主義と揺り戻しの仕組みとしての環境倫理学市場の失敗マーケットフェイラー
・?地球の生態系という有限空間では、原則としてすべての行為は他者への危害の可能性をもつので地球レベルでの公共財への責任が成立する。
?資源の枯渇、廃棄物の累積を避け、未来の世代の生存条件を保証する責任が現在の世代にはある。
?生命の質、資源、環境、生物種、生態系など生命の尊厳にふさわしい存在を自己の現在の生活を犠牲にしても、保存する完全義務を負う。
・地球が有限だという原則がわれわれの経済社会の原則のなかに含まれていなかったことの誤りを認識することが大事である。
・世代間の倫理を現在の世代はもっと考えなければならないが、これまではその意識が希薄だった。
○本来文化の特質(21世紀の文化とは)
?パイはどんどん大きくなるということでなく、進歩から定常化・自己充足へ
?成長から配分へ
?廃棄から循環へ
?無限の宇宙から有限の生態系、低エネルギー技術へ(生命と情報)ゼロエミッション化が必要である
以上のような内容を豊富な実例で分かりやすく講演。19世紀までに人類がやってきたように、個人はコントロールできないが、世の中全体ではなんとなく市場経済の調整システムでうまくおさまるというのは甘すぎるのであり、人類全体の未来について冷静な理性的な判断に切り替えていくような文化体質に変えていかなければならないと結ばれた。