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 こうした全国各地にひろがる運動組織の連絡・協力組織として1983年に「ナショナル・トラストを進める全国の会」が結成された。以来毎年、各地で場所を移して全国大会を開いてきた。第1回が和歌山県田辺市で、第2回が神奈川県横浜市、第3回が千葉県佐倉市、第4回が栃木県足利市、第5回が東京都世田谷
区、第6回が埼玉県大宮市、第7回が北海道斜里郡小清水町、第8回が群馬県利根郡川場村、第9回が北海道函館市、第10回が東京都中央区、第11回が大阪市吹田市、第12回が埼玉県所沢市、第13回が東京都新宿区、第14回が神奈川県横浜市で、第15回が三重県津市で、そして第16回が1998年6月、青
森県八戸市で開催された。

 そしてこの「ナショナル・トラストを進める全国の会」は1992年に「社団法人日本ナショナル・トラスト協会」という公益団体に発展的に改組され、その活動の内容と規模を拡大した。同協会では各地の運動の発展をめざしてトラスト活動に対するの税制の優遇措置の拡大、法制度の整備を国に働きかけてきている。

 また活動の国際交流も盛んになってきた。ナショナル・トラストの全国大会や研究会、シンポジウムに海外のトラストの代表を招待したり、3年に1回開かれるナショナル・トラスト国際会議には代表が出席し、わが国の活動状況の報告を行っている。さらに毎夏、イギリスのナショナル・トラストが行っている資産修復のボランティア活動に希望者を選考し、派遣している。

 世界のナショナル・トラスト活動に共通ずる特質は第1に住民の「自発性」に支えられた運動であること。第2の特質は「先見性」。将来、破壊されるかもしれない貴重な環境を先手を打って保護しようとずる。第3の特質は「教育性」。環境は私たちの手でまもるのだとして、小学生から高齢者まで多くのひとびとが寄金に応じている。そして第4に「協力性」。各地で展開されている活動に全国各地から寄金が寄せられているし、各地の運動組織は社団法人日本ナショナル・トラスト協会を通じて互いに連絡をとりあって経験と情報の交流に努めている。

 

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