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グループホームの住まいに関する調査研究報告書


    グループホームの住まいに関する調査研究 8 大分大学 鈴木義弘


      糸口福祉センターのグループホーム

?@糸口福祉センターの活動概要
大分県が建設を行い県社会福祉事業団が運営する準公立の複合施設である。児童施設(精神薄弱児施設)「糸口学園」(1965年)を最初に、更生施設(入所型)2施設(「糸口厚生園」(1971年)・糸口第二厚生園(1974年))の設置、医療機関の「糸口診療所」開設(1975年)と整備され、1981年「糸口通勤寮」設立へと至っている。「糸口学園」は1992年、成人課(更生施設)と児童課(児童施設)の児者併設施設に改組され、従って、現在更生施設3施設:入所者定員176名・児童施設:定員70名・通勤寮:定員30名の構成である。
<図−5>
GHは、1991年から順次開所させて宇佐市内に5棟が立地している。生活支援センターの認可も受け、「糸口通勤寮」を拠点としてGHとともに生活支援を行っている。<図−6>

?Aグループホームの形態と入居者の特徴
1)グループホームの形態
GH5棟は、土地建物とも賃貸である。地域住民の開放する多目的ホールと夫婦用のアパート4戸を併設した新築GH1棟と、個室2室を増築した改造住居が1例である。
男性用3棟、女性用2棟で各定員4名の計20名が入居しており、障害判定はすべて軽度のB2となっている。前居住先も職場接近のためGH間で移動した1名を除き、「糸田通勤寮」からの直接の入所者である。
入居費は一律10000円、世話人(平均年齢55.4才)の居住形態は、近居3名/同居・通勤が各1名で、バックアップ施設の担当職員が5棟のパイプ役を務めている。また、世話人の休日確保のため、副世話人が各GHで定められている。<表−7>

2)入・退居者の特徴
入居者の年齢は、20代前半の比率が高く、殊に女性は若年傾向(平均26.4才)である。出身地も宇佐市内と近隣町村および隣接の中津市で6割を占めており、県内に広く分布するコロニー雲仙とは異なる利用圏を示している。勤務は、失職中の1名以外は一般事業所である。<表−8>

障害基礎年金は全員が2級で、月収人は失職者を除く平均で月149,952円となっている。
援助内容は、入居者によって大きく異なってはおらず、調理の援助を中心として金銭管理と人的交流支援が基本とされている。
一方これまでの退居者は12名で、女性は3名に止まり、平均年齢33.3才・平均居住期間25.6ケ月とコロニー雲仙と近似した値である。結婚による退居が5名と多く、生活支援の成果と共に軽度者であることにもよると考えられる。この結婚退居についても年齢・居住期間の長さなどの共通点が指摘できる。<表−9>

4)生活支援センター登録者の状況
生活支援登録者は、大分市へ転居しながらも登録者として支援を希望している既婚の女性1名が比較的遠隔のほかは、宇佐市を中心に隣接2市に居住している。こちらは女性が多く16名、男性12名の計28名で、中等度B1が1名のほか27名は軽度B2である。
居住形態は一般アパートが12名で、うち既婚者5組+1名の11名におよぶ。公営住宅に4名(既婚2組)、社宅に8名(うち既婚者1組)が主たるもので、自宅と通勤ホームが各2名となっている。

?B事例調査による住まい方
1)対象住戸の平面構成
一般住宅を利用したものとしてまず、類似した平面構成の<八面荘><豊友荘>の男性用2棟は、木造2階戸建て住宅を既存のまま利用している例で、1階続き間座敷部分にそれぞれ1名ずつ、2階寝室2室に各1名で構成される。既存住宅の室数不足から1階に個室2室を増築した女性棟1例<カトレア>は、台所の隣接の続き間和室を食事室と居間に充てており、同じく1・2階に各2名である。農村住宅の特徴を反映しているのが木造平屋<友愛ホーム>で、同居世話人宅の母屋に連続する従前の納屋改造部と、後継子息のために改造されたすぐ脇の離れの2ユニットを利用している。それぞれにDKと浴室を備えており、女性2名ずつが居住している。
新築された1棟<信友荘>は、前述の通り1階にGH諸室と多目的スペース(集会場)、2階に夫婦用4戸(階段による別アプローチ)を複合させた建物である。玄関脇のDKに並んで6畳規模の洋室4室が配置され、居間に代わる3.5畳大の娯楽室(TV室)と予備的居室(増員・来客対応)が中廊下をはさんで設置されている。
<図−7>

2)家具配置の特徴
私物の所有と配置については、やはりテレビとコタツの居間配置・共同所有がルールで、2ユニット構成の<友愛ホーム>のテレビ2台を除き、各ホーム順守されている。各個室のレイアウトは、やはり女性家具量が多いといえる。またベッド就寝が半数で、個室が和室の<八面荘lF><豊友荘lF><友愛ホーム>8名以外の洋室12名中10名(みられる。農村住宅<友愛ホーム>の寝室は、離れ部分では居間兼用にも使われており、2ユニットいずれも2名同室就寝(2人室)をとっている唯一の事例である。
食事はDKで行われているものが4棟、6畳和室を食事室化した<カトレア>を含めすべてイス座であり、居間との兼用は行われていない。
















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