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グループホームの住まいに関する調査研究報告書


    グループホームの住まいに関する調査研究 8 大分大学 鈴木義弘


      九州におけるグループホームの設置状況と調査対象施設の選定

?@九州に設置されているグループホームの概要
全国の認可グループホーム938ヵ所*1のうち、九州地区には176ヵ所(18.8%)が設置されている。
自治体別では長崎県が群を抜いており、通勤寮*2「双葉寮」のバックアップする認可グループホーム(以下本文では、GHと略称)23ヵ所をはじめ、県下に広く分布しており鹿児島県(30ヵ所)がつづく。
バックアップ施設の種別は、通勤寮・更生施設・入所授産施設にほぼ3分されているが、その比率は自治体によって大きく異なっている。福岡・佐賀・長崎は通勤寮中心で更生施設がこれを補っている状況であるが、宮崎・鹿児島・沖縄は更生施設および入所授産中心である。(通勤寮が宮崎で1施設、鹿児島・沖縄には設置されていない。)事例の僅かな通所施設(授産)によるGH11ヵ所の過半6ヵ所が、大分県に所在しているのも特徴として挙げられる。
<図表−1>

*1本章におけるグループホーム・バックアップ施設などに関する情報は、「全国精神薄弱関係施設名簿1997年版」に掲載された(財)日本精神薄弱者愛護協会による現況調査データ(1996.10.1現在)基づいた。
*2施設種別呼称をはじめとして、報告文は基本的に知的障害者を対象として表現している。従って、その都度の注記は省略した。
(例えば、通勤寮は知的障害者のための通勤寮(行政上は、精神薄弱者通勤寮)であり、更生・授産施設その他も同様である。)

?A調査対象施設の選定
GHバックアップを行っているのは80施設存在しているが、1ないし2ヵ所の設置が61施設にのぼっている。GHによる地域生活の実現とこれに対する支援は、一定の生活圏に(住戸の配置は分散されながも)集積されることによってその有効性がさらに高まると考えられる。したがって、これらの施設でも今後の増設を計画しているものも多いと考えられる。
GH3ヵ所以上を支援しているのが19施設、5ヵ所以上では5施設に止まる。本調査における対象施設はこの中から、先駆的かつ多様な福祉サービス・生活支援活動などの行われている「コロニー雲仙」の通勤寮「双葉寮」(長崎県南高来郡瑞穂町)が主としてバックアップするGHと、準公立といえる県福祉事業団運営の「糸口福祉センター」に5ヵ所設置されているGH(「糸口通勤寮」のバックアップ・大分県宇佐市)を選定した。プラン採取を行う上では、既存の戸建て住宅利用中心の「糸口」GHに対し、「雲仙」からはGHとしての独自の工夫を加えられた平面構成をもつ新築事例を抽出した。事前の調査票記入依頼のあと、現地での本調査は「雲仙」1997年12月17・18日、「糸口」1997年12月19日に実施したものである。またいずれも、生活支援センターの認可を受けGHとともに、地域生活を営む知的障害者のフォローも併せて行っており、この点についても言及する。<表−1><表−2>






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