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グループホームの住まいに関する調査研究報告書


    グループホームの住まいに関する調査研究レポート 7 摂南大学 田中直人


      グループホーム こぶし荘

所在地 兵庫県出石郡出石町魚屋26番地

設置年月 平成7年4月1日

運営主体 兵庫県社会福祉事業団

住居形態 一戸建

バックアップ施設 精神薄弱児施設・精神薄弱者更生施設
兵庫県立出石精和園

世話人居住形態 通勤(女性2名)

認可形態 地方自治体による認可

定 員 定員4名:現入居者数4名

入居者属性

兵庫県出石町は兵庫県の北部に位置し、古くからの城下町として発展した町である。現在は「出石そば」が有名で山陰地域への観光ルートの途中の特色ある観光地である。
グループホーム「いずし荘」のバックアップ施設となっている兵庫県立出石精和園は昭和41年10月1日に児童福祉法第42条に基づく精神薄弱児施設兵庫県出石学園として同町の宮内宇久保谷1031番地に定員100名の施設として開設されたのが最初である。昭和42年からは出石中学校出石学園分校、弘道小学校出石学園分校が併設されたが、7年後に分校は廃止された。昭和52年4月1日に現在の名称に改称し、成人寮開設準備室が設置された。同年5月1日に精神薄弱者福祉法第21条の5に基づく精神薄弱者更生施設兵庫県立出石精和園成人寮を同町荒木字ヒ谷1300番地に定員50名の施設として開設された。
これにともない従来の精神薄弱児施設を出石精和園児童寮と改称した。昭和58年10月1日には成人寮の定員が100名に増設され、児童寮は50名に変更された。これは入所の精神薄弱児童の成人化の進行にともなう対応である。
グループホームの入居者は精和園に入所していた中で生活能力の高い4名によるものである。

4名の入居者はいずれも女性であり、表に示すように3人が40代前半、その他1名が20代後半の比較的若い世代で、飲食店や福祉施設において就労している。精和園では比較的生活能力の高い人たちであったそうである。
建物は出石町のそば店が建ち並ぶ中心街の通りから少しはずれた比較的閑静な住宅地にある。木造の平屋建てで面積は84.6?u(約25坪)である。間取りは図に示すように和室(3畳)、居間兼食堂、台所、浴室、便所、玄関等からなる。建物の所有者の協力により兵庫県社会福祉事業団が借り上げし、入居者4名から家賃を徴収している。それぞれの生活者は昼間は仕事についており、仕事を終えたのち共同の生活をしている。共同の生活の中心となるのは居間・食堂である。部屋の中央に大きなこたつテーブルが置かれ、両側の2つの窓からは緑が美しい庭の眺めがある。玄関だけがグループホームとして別に改造されたそうで、その他はもとのまま使用している。外見からは、特に周辺の住宅と違いはなく、溶け込んでいる。
入居者のグループホームでの生活による状況については、施設にいる時に比して大変楽しそうにしているということで、生活能力もアップしたとのことであった。このような既存の住宅が所有者の理解によって確保できたことが、このグループホーム成立の最大の要因と思われる。また、この運営のバックアップ主体となっている精和園の存在が大きい。
いきなり、グループホームでの生活を開始するのではなく、施設での生活から見極めながら適切な共同生活者を選定等を行うことが必要であろう。施設の入居者は主として県下から集まっているが、特に県下の者に限定してはいないということである。地域との接触はボランティア等で施設にやってくるが、活動内容としては限定されており、地域の中で施設そのものが共生しているとは言えない。
今後の予定としては、このようなグループホームを拡大していく考え方があるそうであるが詳細は未定である。兵庫県社会福祉事業団は県下で多岐にわたる福祉事業を展開しているがこのような地域の中に密着した福祉施策の展開が今後も拡大されることが期待される。

参考資料
1.グループホームこぶし荘の平面図
2.出石精和園建物配置図(児童寮)
3.出石精和園建物配置図(成人寮)
4.出石精和園日課の概要












































































































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