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グループホームの住まいに関する調査研究報告書


    グループホームの住まいに関する調査研究レポート 5 福井大学 桜井康宏


      あゆみホームふきのとう

所在地 滋賀県八日市市野々宮町

設置年月 1995年5月

運営主体 社会福祉法人あゆみ福祉会

住居形態 築50年のお寺の本堂を賃貸

バックアップ施設 通所授産施設あゆみ作業所(あゆみ共同作業所を併設)

世話人居住形態 週4日宿泊(月〜木)
岡山県出身で京都在住の50才代女性
特別養護老人ホーム寮母の経験あり(8年間)
97年7月に前任者を引き継ぐ

認可形態 県単施設

定 員 3名(+夕食利用1名+ショトステイ1名)

入居者属性 知的障害男性2名(28才手帳B、47才手帳A)

精神障害女性1名(50才)

夕食利用者(知的障害男性62才手帳A)

ショートステイ女性(一般就労。木曜夜のみ宿泊)

入居者特性 精神障害女性
経歴:母親と2人暮らし→93年母親死亡
→生活の貧困・就労意欲の低下(作業所でも頻繁に寝ていた)・体重増加。体調不良→95年ホーム入所
→生活意欲・就労意欲の向上。体重も減少傾向

現在は食器洗いや洗濯など男性の分も行う。世話人に促されて手編みや日記を始め、自分の意志で継続している。
週末は家で一人暮らしだが、「仏さんがいて落ち着いて眠れる」と言う。反面「土日もホームに居たい(皆の食事を自分がつくる)」とも言う。
作業所へは電車で通勤(「仕事楽しい」)。

28才男性:宿泊は月曜・火曜のみ。
経歴:両親・姉との4人暮らし
→本人と父親が進行性の難病を抱えるため母親の介護負担増大→心身的ストレスとトラブルの発生
→96年ホーム入所
→本人・母親ともにストレスとトラブルの減少と関係の改善傾向

施設入所経験があり、「自分のことは自分でする」ことを評価されることがストレスの緩和につながる。

47才男性
経歴:両親・兄夫婦との5人暮らし
→自営業の関係で生活サイクルのズレ
→結びつきの強かった父親の入院
→生活の単調化・貧困化→生活意欲・就労意欲の低下
→95年入所意欲回復傾向(その後の父親の死亡に対しても耐えている)。

腎臓病をもつため塩分制限や医療ケアが必要。作業所へは電車通勤。

夕食利用男性
経歴:母親との二人暮らし→96年から甥も同居
→96年6月に母親が脳梗塞で入院
→関係者の話し合いで平日は夕食をホームで採り、甥が迎えに来ることと、週末はヘルパーを派遣することを決定(母親の介護にあたる甥も週末は実家に戻るため一人暮らしとなる)
→その後母親は京都の息子宅へ退院

生活力はある(掃除・洗濯などこなせる)が精神的支えが必要。

住まいの特性 女性は2階に個室をもつ(ショートステイ女性が宿泊の場合は隣室に宿泊する)。
男性2人は1階奥の間に相部屋で、居間・茶の間とは連続性(一体性)をもつ。世話人は仏間の奥に個室をもつ。
入所者の構成とこの空間構成は比較的うまく対応しており、居間・茶の間が食後の家族的雰囲気を演出している(アクティビティの相対的に少ない男性2人の様子を窺いながら世話人や女性が動いている)。
居室内の家財道具類は極めて少ない。

世話人の意見 仏間奥の狭い居室が落ち着かない。連続4泊はしんどい。
まだ地域の友人関係が出来ていないので、自分の都合がつかない時の支えがない。






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