日本財団 図書館


次のページへ

グループホームの住まいに関する調査研究報告書


    グループホームの住まいに関する調査研究レポート 4 愛知工業大学 林章 平成10年1月31日 グループホーム・生活ホーム調査報告書 愛知工業大学 林章


      わらび第二ホーム

0.住所等
〒  愛知県西加茂郡三好町大字三好字西荒田28−29−3
PHONE  05613−4−5975

1.開設等
○開設:平成4年4月1日  認可:平成6年4月1日
わらび第二ホームは、わらび第一ホームとともに、宿泊訓練施設からスタートしています。それ以前は、バックアップ施設の会議室を活用して宿泊訓練をおこなっていました。現在でも宿泊訓練やレスパイトサービスを継続しています。

○利用している制度は、国のグループホーム制度。

2.入居者
○届け出定員 4名

○現在員数  固定入居者4名(男3名+女1名)
宿泊訓練者1名(調査時)

○固定入居者の障害レベル:中度1名+重度3名

○全員、同敷地内にあるバックアップ施設で働いています。

○利用料: 月額50,000円(全員同額)

3.バックアップ施設:通所授産施設「わらび福祉園」(PHONE 05613−4−5975)
わらび第二ホームは、わらび第一ホームとともに、施設敷地内にあります。したがって、地域に開いたグループホーム(地域の中にあれば、地域に開いた存在になるというわけではないと思いますが)というよりは、施設内のADL棟としての色彩が濃い居住施設とみなすことができます。
ちなみにわらび第三ホームは、施設向かいにある一戸建て住宅で、軽中度の人たちが生活しています。

4.世話人およびバックアップ体制
a)世話人は1名(男性)。近くに居住。夕食などは、世話人の家族(夫人+子ども2名)がグループホームにきて一緒に摂っています。夫人は以前は施設の職員であり、メンバーにとって心おきなく話ができる存在となっています。

5.土地・建物
○所有  :このグループホームはバックアップ施設「わらび福祉園」にあり、土地、建物ともに法人の所有となっています。

○建物形式:鉄筋コンクリート造。2階建ての新築建物。
建設費は、37,255,000円。そのほとんどを入居者および保護者が負担しています。

○建物面積:150.7?u(1階:77.3?u、2階:73.4?u)

6.日常の生活
a)週末
原則として帰宅。2ヶ月に一度、週末帰宅せず2週間継続して宿泊する機会をつくっています(全員を対象としたもの)。

b)グループホームでの生活
重度の障害者が多いこと、そして施設内にあるために、支援側の発想に保護的な色彩がつよく感じられます。重い障害を持った人に対して外出を制限することはやむを得ないと判断していることは、通常のグループホームのあり方から見ると違和感を覚えます。ただしこれをグループホームの本来のあり方からして、問題があると批判的にみるか、通所施設がグループホーム制度を活用して、プレグループホームとしての宿泊訓練施設を充実させ、そこから地域内のグループホームに巣立っていく基地にするという姿勢を評価すべきかは、意見の分かれるところでしょう。
実質的には、毎週末に帰宅するため、整髪や買い物など、地域での生活は、親元での生活圏内でおこなわれています。そのため、居住者の個人単位の地域生活はごく限られたものとなっています。
日常的に施設の周囲を散歩する人(自閉症者)1名をのぞけば、他のメンバーはほとんど施設の敷地を出ることがないようです。帰宅時にひとりで買い物や映画鑑賞を楽しんでいる人も、ここではあまり外出することがありません。

7.わらび第二ホームの特徴
すでに述べたことですが、このグループホームの基本的性格は、宿泊訓練の延長線上にあると考えてよいと思います。ただ手厚いケアが必要な障害者がいるためでしょう、保護的、言いかえれば入所施設的な発想に近くなっている点が気になります。あるいはグループホームが施設の敷地内にあることが、入所施設的な発想を助長しているのでしょうか。気になることは、ここの法人がボランティア育成に努めてきたにもかかわらず、グループホームに対するボランティアの支援を考えていないことです。福祉就労レベルの障害者を支援する上で必要かどうかの判断以前に、世話人を含めた施設職員だけで支援を実践していくと、どうしても社会に対して閉じがちな自己完結型の支援システムができ易いという傾向は、よく言われることです。
ただし、これも既にふれたことですが、だからといってこのようなグループホームのあり方は問題であるといった決め付けは、理念に走りすぎているように思われます。
少なくとも知的障害者に対する支援サービス全体を眺め渡したとき、益あるものとは考えにくいのではないでしょうか。『あるべき姿』を求めるという発想そのものが、自己完結型の施設中心時代を踏襲しているように見えます。むしろ『なにがどこまで可能か』といったオープンな発想が、グループホームにおける生活の質を求める試行錯誤の時代にあっては、望ましいのではないでしょうか。実際話をうかがったバックアップ施設の施設長、グループホームの世話人は、ともに現在のやり方の限界をはっきり認識しており、将来へ向けて模索を続けています。おそらくこれからも、ここの法人の地域生活支援戦略は様々な変貌を遂げていくのではないでしょうか。






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION