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グループホームの住まいに関する調査研究報告書


    グループホームの住まいに関する調査研究 3 横浜国立大学 大原一興 横浜市内における知的障害者グループホームのケーススタディー調査 −報告書− 1998年1月 横浜国立大学工学部


      グループホーム運営委員会オニオン

横浜市A型グループホームを8軒運営する

1-概要

支援、後援団体 なし

定員 40名(5名×8軒)

入居者数 40名
男性32名 女性8名

運営方針
・自立
成人すれば誰でも当たり前のように、家族と上手く分離できるように体験、経験をしてもらう
・入所施設ではなくグループホームなので、ただ毎日が無事に終わればよいわけではなく、いかに毎日を豊かに過ごせるかが重要

2-開設まで〜現在に至る経緯

開設経緯 身体障害、知的障害共に重度の人が多いある授産施設の通所者の中で、親が高齢の人や、行き場が無く施設や精神病院に入所している人のために、施設の元にあるがA型であるグループホーム(後のグループホーム「サンハイム藤塚」)を作った
この1年前に、この施設の職員が独自に作ったグループホーム(後のグループホーム「秋元荘」)があったが、開設2年で続けることが困難となり、施設長に頼ってきたので、この2つの運営を一緒に始める
1993年4月 3軒目「白根ハイツ」開設
1994年4月 4軒目「ハイツなるみ」開設
5軒目「グリーンツリー」開設
ここから設計段階にも関わるようになる
また同居人制度もここから始める
1995年4月 『グループホーム運営委員会オニオン』として、既にある5軒と開所予定の1軒の運営を始める
施設の元にいると、グループホーム運営を別にしていても、運営面でも大きく依存してしまうし、職員は法人からの派遣という形になるし、また支援関係が深まればグループホームが施設の一部と化してしまいやすくなるので、運営委員会を作り、法人とは別の組織として独立した
1995年8月 6軒目「上原荘」開設
ここから入居者を公募するようになる
1997年4月 7軒目「万騎が原ハイツ」開設
1997年9月 8軒目「希望ヶ丘ハイツ」開設

住居探しの状況 1軒目のときはバブル全盛期ということもあり、なかなか住居が見つからず、開設まで1年かかった
住居探しをしていくうちによい不動産屋に出会い、その後も協力してもらうことができ、住居探しにはそれほど苦労していない

地域との関わり 特にない
開設前には挨拶には行かない
障害者という特異性を、わざわざ言う必要も無いと考えているので

3-生活

生活日課 決まりは何も無い
食事は夕食ヘルパーが作って置いてあるものを各自で食べる
基本的な介助契約終了時間は23:00だが、入居者の障害に応じる

土日 開所
入居者が主体なので、帰省も自由

行事 特にない
グループホームは住居であり、休息の場であると考えているので

4-職員

職員数 常勤 8名(欠員状態)
1名が2〜4ホームを掛け持ち

勤務時間 入居者の介助契約によるのでホームごとに違う
だいたい15:00〜23:00宿直をして6:00〜9:00

職務内容 入居前に各入居者と介助契約を結び、それにより介助する
入浴介助は毎日、ということを基本としている

ボランティア アルバイト
・各ホームに1名ずつ同居人を置く
・夕食ヘルパー
現在、ボランティアは基本的になし

同居人 各グループホームの1室を無料で学生に貸している
朝の介助など手伝った分はアルバイトとなる
軽度の入居者のグループホームは、同居人か職員どちらか1名のみが宿直をする
・4軒目を開所した時点で各グループホームに同居人をおくことにする
・職員が宿直をするといろいろな経緯費がかかる上、以前は職員も足りなかった

職場等との折衝 個別対応

家庭との関わり 個別対応
(親からのグループホーム生活への援助は基本的に考えていない)

5-入居者

入居者数 男性 31名
女性 8名

入居前
・自宅 32名
・入所施設 3名
・精神病院 4名(入院する必要はないのに、行き場が無く入っていた)

通勤・通所先
・A授産施設 16名(運営委員会ができる前はこの施設の社会福祉法人の元にあった)
・福祉工場 2名
・授産施設、地域作業所 19名
・一般就労 2名

主な収入 年金+生活保護+給料
仕送りは考えていない

入居費 家賃 35,000円(「万騎が原ハイツ」は家賃が高いため47,000円)
共益費 15,000円
その他

グループホーム生活による変化
・生活の幅が広がる
いろいろなことが経験できる
・人間関係について知る
・自信がつく
親からも認められるようになる

6-各グループホームの概要

1. サンハイム藤塚・木造2階建一戸建住宅
開設当初、グループホームというものが長い間借りてくれるのかということを大家さんが,心配して、改造の許可が下りなかった
(1居室が共有空間への通路となってしまっていたので、改造したかった)
入居5年後に改造の許可が下りる
・入居者の年齢層が比較的高い
脳内出血により左半身麻痺となり車椅子生活となった入居者がいたが、住居が車椅子に対応できなかったため、車椅子対応に新築した「希望が丘ハイツ」へ移った
・住居がなかなか見つからず、開設までに1年かかった

2. 秋元荘
・木造2階建アパート 1K8世帯分(アパート全部分)
うち2世帯を改造して共有空間(食堂、談話室、浴室2ヶ所他)を作る
・とても古い住宅を改造を重ねて使用しており、とても危険な状態だったので、1995年3月に引越し、引越し先のアパート名「秋元荘」にグループホーム名も変更する。

3. 白根ハイツ
・木造2階建アパート 3LDK2世帯分(アパート全部分)
元々あったアパートが老朽化のため立て替える時に、借りることにする
退去するときに、元の状態に戻すことができる程度の改造の許可をもらう
台所は始めから1ヶ所しか付けずに、もう1ヶ所のスペースは居室にする
・開設当初はB型グループホームとして始める
・入居者は重度の知的障害者
・同居人が入ったことで部屋が足りなくなり、庭にプレハブを立て事務部屋とする

4. ハイツなるみ 別紙

5. グリーンツリー
・木造2階建一戸建住宅

6. 上原荘
・木造2階建一戸建住宅
内装は全改装する
全体的に半分近くは手直しをした
・談話室がとても広い

7. 万騎が原ハイツ・木造2階建アパート 1階1K8室分
・居室は1Kで、キッチン、冷蔵庫、トイレ、バス、エアコン付

8. 希望ヶ丘ハイツ 別紙

家賃
・7軒は月350,000円
在援協から家賃の半額補助が出るが、その上限が350,000円の半額なので、契約時にそれより安くても350,000円払えるということで、この額にしてもらっている
・大家さんの信用を得るため
・始めから少し高い額を払うので、当分は値上げしないでもらうため
・「万騎が原ハイツ」は、月412,000円
1K型アパートで設備がすべて整っているので、仕方が無い

グループホーム名 名称は付けずに各住居(アパート)の元からの名称を利用
始めの2軒は普通に名称を考えて付けていたが、グループホーム名としてかわいい名称を付けるのは、障害者という特異性を自ら周辺地域に公表することであり、地域で普通に暮らすということにはならないと考えた
始めの2軒も引越し、立替えの際に、元の名称に変更した

グループホーム ハイツなるみ

住所 横浜市保上ヶ谷区天王町2-46-20

電話/FAX 045-332-9450

開設年月日 1994年4月

運営の主体 グループホーム運営委員会オニオン

支援、後援団体 なし

定員 5名

入居者数 男性4名 女性1名

建物形態 木造2階建一戸建住宅

2-入居者

入居者数
・男性4名 30、39歳(車椅子使用)、42、57歳
女性1名 28歳
・知的障害者2名 身体障害者3名

3-建築形態

構造、形態 木造2階建一戸建住宅

規模 延床面積 130.8?u

建築年数 3年半(開所時新築)

権利関係 賃貸借権
(建物の設計段階から、すべてグループホーム側で行った)

家賃 月350,000円

建物概要
・居室 5室
・職員室
・同居人部屋
・台所、食堂
・浴室 2ヶ所
・トイレ 2ヶ所(ウォシュレット型)
・洗面所 2ヶ所(1階は浴室内)
1階のトイレ、浴槽は身体障害者対応で埋め込み式
2階のトイレ、浴室は普通のもの
各部屋エアコン付

共用空間
・共有空間でありながら台所、食堂であり、また通路でもあるので、ゆっくりとくつろぐ共有空間としての使い方ができず不便である
・まったく明かりが入らないので、昼間でも暗い

居室
・家具は各自で持ち込み
・1階の身体障害者用の居室には、何かあったとき職員に知らせるためのメロディーチャイムを付ける
・すべての居室のドアは引き戸になっている

便利な点(特徴)
・1階に身体障害者が2名入居することを想定して設計
車椅子対応にするため玄関にリフトを付けた
・1階の浴槽が埋め込み式である
・1階のトイレは開所4年後に、埋め込み式に変える
・氾濫の多い川のそばなので、基礎をとても高くする

不便な点
・共有空間が狭い
狭い土地に7部屋作らなくてはならなかったので、共有空間が狭くなってしまった
・浴室に洗濯機、洗面所がある
・収納が少ない
・浴室に設置したリフトの位置が悪く、使用できなかった
結果的には使用しなくても平気な入居者だったので、取り外して別の所で使用している

グループホーム希望ヶ丘ハイツ

1-概要

住所 横浜市旭区さちが丘65-12

電話/FAX 045-366-7715

開設年月日 1997年9月

運営の主体 グループホーム運営委員会オニオン

支援、後援団体 なし

定員 5名

入居者数 男性4名(もう1名入居決定済み)

建物形態 軽量鉄骨2階建 一戸建住宅

2-入居者

3-建築形態

構造、形態 軽量鉄骨2階建一戸建住宅

建築年数 2ヶ月(1997年9月新築)

権利関係 賃貸借権
(建物の設計段階から、すべてグループホーム側でする)

家賃 月350,000円

建物概要
・居室 5室
・体験入居室
・職員室
・同居人部屋
・台所、食堂
・浴室 2ヶ所(1階はリフト付)
・トイレ 2ヶ所(1階は車椅子対応、すべてウォシュレット型)
・洗面所 3ヶ所
各部屋エアコン付
各居室別に電気メーターがつく

共用空間 食堂、居間である共有空間は、団らんなどできる共有部としての意味を持つように通路などにならないように設計した
「ハイツなるみ」での失敗を生かした
共有空間が通路とならないために、食堂の奥の部屋は職員室とした

居室
・どの居室も同じタイプのつくりになっている
・家具は各自で持ち込み
冷蔵庫など所有する入居者もいるので、電気メーターは各居室別に付いている
・物干しまたはベランダ付
・テレビ線、電話線は各居室に引いてある

便利な点(特徴)
1階に2名身体障害者が入居することを想定して設計
・車椅子対応
玄関は緩やかなスロープ
1階の廊下は幅広く取っており、居室から浴室、トイレへ車椅子でも移動が可能
・1階浴室はリフト付
車椅子上で脱衣をし、そのままリフトで浴室へ移動できる






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