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グループホームの住まいに関する調査研究報告書


    グループホームの住まいに関する調査研究 3 横浜国立大学 大原一興 横浜市内における知的障害者グループホームのケーススタディー調査 −報告書− 1998年1月 横浜国立大学工学部


      グループホームほほえみ

1-概要

住所 横浜市瀬谷区南台1-23-2

電話/FAX 045-304-0826

開設年月日 1996年11月1日

運営の主体 グループホームほほえみ運営委員会

支援、後援団体 なし

定員 5名

入居者数 女性5名

建物形態 木造2階建一戸建住宅

運営方針 地域での普通の暮らしを支える
ボランティアをしてくれることで、地域もまた変わっていったら

2-開設まで〜現在に至る経緯

開設経緯 1994年 入居者Aさんの父親が死亡し(母親は既に死亡)、Aさんと弟が残される
(弟も障害者)
父親の遺言は『2人の子供は施設に入所することになるであろうから、家を売却したお金をその施設に寄付する』というものだった
財産について問題となり、市のケースワーカーに相談し、弁護士に処理をお願いすることになる
姉弟はそれぞれ施設に緊急入所する
(弟は身体的にも介護が要るので別の施設に入所、しばらくしてそこに正式入所)
Aさんの入所した施設の職員(現在の運営委員長)が、「家があるのになぜそこに住むことができないのか、炊事をしてくれる人がいたら家に住みたい」というAさんの気持ちを聞き、グループホームを作ることを考えた
そこで在援協へ相談に行き、元々瀬谷区でグループホームの勉強をしていた会と一緒になり、勉強を始めた
1996年春 体験入居などにより、入居者を決める
1996年11月 開所
この土地、建物の名義が姉弟のものとなるのが一番良かったが、現在の制度では無理だったので、遺言の通り弟の入所した施設名義となり、グループホームが借りている状態である

地域との関わり グループホームができることに反対な住民もいたとは思うが、長年Aさん一家が住んでいた場所なので、その境遇を知っている人も多く、理解があった
・近所の人は何かと声をかけてくれ、恵まれている
・近所の主婦が緊急時のボランティアとして登録している

建物改造点
・居室4-8畳、押入れ付、掘りごたつがあり、神棚、仏壇の置かれた部屋だった
良い部屋だったのでこのまま残したかったが、居室が5室必要なこと、食堂の共有部分を広く取りたかったので改造
6畳にし押入れの位置を変えた
神棚は神主にお払いをしてもらい取り外した
・居室1,2,3-ふすまで仕切られていた
壁にする
・浴室
全改装
広いバスタブにし(2名での入浴も可能)、手すりを付ける
・トイレ−1階のみで男性用、女性用があった
・1階 男性用を無くし、洗面所を付ける
・2階 押入れを無くしてトイレにする
ウォシュレット式
・玄関内部
手すりを付ける
・庭−丘がある庭園だった
職員用の駐車場が必要だったため、広い駐車場にする

運営委員 運営委員長は入居者(Aさん)が以前入所していた施設の職員

3-生活

生活日課 食事は全員で一緒に食べる
夕食 19:00〜

土日 開所当初、土日は帰省する予定だったが、だんだんと入居者が帰省したがらなくなり、現在はほとんどの入居者が土日もグループホームで過ごす
年末年始などの長期休暇時も、2,3日帰省するのみでグループホームに戻ってくる

行事 誕生会など

生活状況 ・洗濯はだんだんと各自でするようになった
・食事作りは協力しながら手伝う

余暇生活 外出したい入居者で1人でも大丈夫な人は、1人でも外出する
財政上、職員、ボランティアが人数不足のため、休日に外出する人とグループホームにいる人の両方につくことが困難である

お金の管理 必要に応じ職員に言い、お小遣いをもらう
お小遣い帳を付ける

4-職員

職員数 常勤 1名
臨時 1名
(本来は常勤2名だが、1名が途中退職したため、1997年11〜12月は常勤1名)

勤務時間 16:00〜翌10:00

ボランティア 31名がボランティアに登録している
そのうち20名が、定期的に関わっている
(そのうちの1名が調査時の臨時職員)
ボランティアの仕事は、5つに分類している
・土日の宿直 16:00〜翌10:00
・土日、祝日の日中
・夕食作りと入浴のお世話 職員が忙しい日の16:00〜21:00
・掃除 平日の日中
・緊急時 近所の主婦が登録

職場等との折衝 連絡帳でお互いに連絡を取る

家庭との関わり 個別対応
・2名の入居者(Aさん、Cさん)の両親は既に死亡、兄弟との関わりはある
・肢体不自由の入居者(Bさん)の母親は、何かあるとよく来る

5-入居者

主な収入 年金+仕送り(4名)
年金+生活保護(1名)

入居費(月1名) 1ヶ月分すべて合計した額で保護者からグループホームあてに入れてもらい、家賃など必要経緯費を差し引いた残りをお小遣いとして入居者に渡す
そのうち
家賃 25,000円
共益費 17,500円
援助料 10,000円

グループホーム生活による変化
・自分のことは自分でするようになった
洗濯ができるようになった
・保護者との関係が、ほどほどの距離により良くなった
小集団での生活ルールの中で,ジレンマを生かしながら生活している

F, G地域作業所は同運営

6-建築形態

構造、形態 木造2階建一戸建住宅

規模 延床面積 140.4?u

建築年数 約20年

権利関係 賃貸借権
(入居者Aさんの弟の入所する施設の名義)

家賃 月250,000円

建物概要 
・居室 5室
・職員室
・台所、食堂
・浴室
・洗面所 2ヶ所
・トイレ 2ヶ所
各部屋エアコン付(開所1年後に付けた)

共有空間 食堂
各居室にいるより食堂で団らんをしていることが多い
テレビが置いてあるがお喋りをしていることの方が多い
食堂のへこみの部分にテレビ、ソファーを置くスペースを作ろうとしたこともあるが、狭いし、そこから動かなくなる入居者がいたのではと考えると無くて良かった

居室 家具は各自で持ち込み

便利な点 食堂に対する台所の位置
職員が台所で作業をしながら、食堂に集まる入居者と話をすることができる
入居者に、食事の支度・後片付けを手伝ってもらえるスペースがある

不便な点
・家の造りが旧式である
階段の傾斜が、急である
雨戸が旧式で、開閉が困難な入居者がいる
壁が塗り壁で、歩行不自由の入居者が歩行時に触るので落ちる
・風呂の窓が大きすぎる




















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