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グループホームの住まいに関する調査研究報告書


    グループホームの住まいに関する調査研究 3 横浜国立大学 大原一興 横浜市内における知的障害者グループホームのケーススタディー調査 −報告書− 1998年1月 横浜国立大学工学部


      グループホームダンボ

1-概要

住所 横浜市神奈川区羽沢町316-191ハイム安井一番館

電話/FAX 045-373-2357

開設年月日 1985年7月

運営の主体 グループホームダンボ運営委員会

支援、後援団体 地域作業所「ダンボ」、グループホーム「ダンボ」を『ダンボの会』として活動

定員 5名

入居者数 男性4名 女性1名

建物形態 木造2階建アパート 2階全部分2LDK3世帯分

運営方針
それぞれが自分に合った生活を、地域で自由に、普通に近い状況でできるように 町で普通に暮らすことによって周囲の人に知ってもらい、障害者への理解を得られるように
指導、訓練ではなく、各自の意志を尊重する
障害に応じた自立を目指す

2-開設まで〜現在に至る経緯

開設経緯
1980年10月 同中学校を卒業した障害者の親が集まり、「ダンボの会」を結成
日中過ごす場を作ろうということで、作業所を作る
1983年7月 市から認可され、それと共に宿泊の問題についても話が始まる
当初は緊急時一時保護のための宿泊について考えていたが、だんだんと自立訓練を含めた場作りへと方向転換する
1984年7月 町内会館で週1回の宿泊訓練が始まる
徐々に宿泊の回数を増やす
1985年7月 一戸建住宅を借り開所
1985年11月 市にグループホーム試行事業として認可される

移転状況
・1985年7月 保土ヶ谷区釜台の一戸建住宅にて開所
急斜地に建っており、上砂崩れが起こり住居内まで土砂が入り込んだことがあったので補修工事を頼んだが行われなかった
何か起こったときすぐ逃げることができない入居者なので、危険と思い移転することにした
物件はなかなか見つからなかったが、作業所にボランティアに来ていた大工さんが新築するアパートがあるということで、その大家さんに掛け合ってくれ、現在の場所に決定した
・1991年 神奈川区羽沢に移転

建物改造点
・洗面室の壁を抜いて行き来ができるようにする
肢体不自由者の居室側は、幅広く抜く
段差ができたため階段を付ける
・男性居室側の玄関は使用しないので、洗面所にし、段差を埋める
・トイレ内、男性側浴室入口に手すりを付ける
ユニットバスのため浴室内には付けられなかった
・居室4、職員室を作るために、壁を作る

地域との関わり
・町内会員として行事に参加
お祭りなど
・近所の店で買い物
よく行くので店員とも仲がよい
・近所に住む職員の子供が、友達を連れて遊びにくる
・近所の人とは仲がよい
窓を開けるとすぐ隣の家なので挨拶をしたり、もらい物をすることもある
このアパートを建てた大工さん宅が目の前なので、何かあるとすぐ来てくれる

運営委員
・町内会役員
・地域民生委員
・教師 など

退所者 4名
・自宅へ戻った
・親の引越しについていった
・家庭の援助がなく、施設に入所
・母親が病気になり共に過ごすため自宅へ戻ったが、父親だけでは介助が無理であり、空きがあった別のグループホームに入所

3-生活

生活日課
食事は全員で一緒に食べる
夕食 18:00〜

土日
なるべく帰省する
親とのつながり、自宅での居場所を持つため
職員2名では無理もある
ほとんどの入居者が帰省する
外出時は個人契約でボランティアを頼む

行事
・誕生会
・作業所の仲間で旅行 など

余暇活動
・週1回絵画の先生がボランティアで来て教えてくれる
・プールやカラオケに行ったりする

お金の管理
基本的に年金は家庭で管理

4-職員

職員数
常勤 2名(女性)

勤務時間
14:00もしくは15:00〜翌10:00
交代で週2,3回の宿直
常時1名

職務内容
・家事
・話し相手
・お金の管理
通院など家庭に協力してもらえる範囲は、家庭でしてもらう

ボランティア
・入浴ボランティア 男性1名
入浴介助の必要な男性入居者がいるが、職員が女性のみなので
・土日外出時のボランティア
・絵画教室のボランティア
忙しいときは作業所の職員が手伝ってくれることもある

5-入居者

主な収入
年金+生活保護(3名)
年金+生活保護+仕送り20,000〜30,000円(1名)
独立した成人であるので親の援助ではなく生活保護を主にした

入居費(月1名)
家賃 38,625円(運営委員会との契約)
食費 25,000円(1日3食、土日分含む)
介助料 30,000円〜(入居者に応じ5,000円単位で加算)

生活上の問題点
入居者にもう1人女性がいるとよい

グループホーム生活による変化
・食生活が改善された
自宅だと好きなものばかり食べていた入居者がいる
・重度のため何ができるようになったというのはあまりないが、精神的に自立した
母親にべったりの生活から共同生活になったので

6-建築形態

構造、形態
木造2階建アパート 2階全部分2LDK3世帯分
1階は1K6室

規模 延床面積 138.8?u

建築年数 7年(1991年移転時新築)

権利関係 賃貸借権

家賃 月300,000円(100,000円×3室)

住宅概要 ・居室 5室(居室4のみ台所付)
・体験入居室
・職員室
・台所、食堂
・浴室 2ヶ所(もう1ヶ所は使用せず物置としている)
・トイレ 3ケ所
・洗面所 3ヶ所
各部屋エアコン付

共有空間
・食事
・団らん
・テレビ観賞
・帰宅時にお茶を飲みながら団らん など
みんなで集まっていることが多い

居室
家具は各自で持ち込み
以前、小学校で使用しなくなったテレビをもらい、現在も入居者2名と体験入居室で使用

不便な点
・1 floorなのに段差がある
傾斜地に建っているので、1世帯分ごとに床面の高さが違う
・大きな改造ができなかった
アパートを退去する際、もとの状態に戻さなくてはならないので
・ユニットバスである
手すりがつけられない
入浴介助をするにはとても狭い
・2階である
騒ぐと1階から苦情がくる
1階がよかったが1K6室を改造するのは無理なので2階になった

その他(グループホームに関する意見) 利用しやすいわけではないが、それぞれに工夫している

ダンボの歩み

1980年10月/保土ヶ谷区周辺の障害者の親達が集まり、ダンボの会結成。
作業所として保土ヶ谷区星川に一室を借り、週1日軽作業を行う。
1981年1月/作業を週2日とする。
4月/訓練会として認可され、横浜市より運営費の助成を受ける。
作業所を保土ヶ谷区川辺町に移転、作業を週3日とする。
5月/ダンボの会第一回総会開催。
1982年5月/作業所を保土ヶ谷区和田に移転。
1983年4〜5月/作業を週3日から4、5日に増やす。
7月/訓練会から作業所として認可され、横浜市より運営費の助成を受ける。
会の発展にともない、宿泊の問題についても頻繁に話をするようになる。
10〜12月/宿泊訓練準備開始。
(実施日・期間、場所、方法などの話合い)
1984年1〜3月/宿泊訓練実施要領の作成。
短期宿泊・緊急一時保護から自立訓練を含めた場づくりへと方向転換。
4月/運営費確保のため「国際障害者年記念基金」を申請。
7〜9月/和田町内会館にて週末(金曜日)の宿泊訓練を実施。
10月/週末宿泊訓練反省会。報告書作成。
12月/作業所を近くの同じ保土ヶ谷区和田の現住所に移転。
1985年3月/次年度宿泊訓練実施要領作成。
4月/「国際障害者年記念基金」を申請。
グループホームに民家の一室を借り、女性4名・週3日で宿泊訓練開始。
(他の所員については体験入居という形で週1日宿泊)
7月/グループホームに保土ヶ谷区釜台の一軒屋を借り、移転。
9月/宿泊訓練を週3日から4,5日に増やす。
11月/グループホーム試行事業として補助が開始される。
1986年10月/6年間働いたお金を貯めて、全員で大空を飛んでハワイ旅行。
12月/保土ヶ谷区川辺町末広マーケット内にパン・菓子・小物の店をオープン。
1987年9月/作業所の建て替えが決まる。
1988年10月/作業所工事着工。
1989年3月/作業所竣工予定。

グループホームダンボ
〒221 横浜市神奈川区羽沢316-191
ハイムヤスイ1号館
電話 045-373-2357

ダンボの会
*ちび象ダンボのように*
ディズニーの耳の大きな「ちび象ダンボ」をご存知ですか。
象なのに体が小さく、耳がうさぎのようだと笑われて仲間はずれにされながらも小鳥たちの応援でついに空を飛んで人気ものになった空飛ぶダンボのお話です。人より遅れてもいいのです。皆で力を合わせて、いつかは空を飛べるようにと「ダンボの会」と名付け、活動をスタートさせました。

作業所「ダンボ」

在宅の心身障害者(児)が、地域社会の中で生活をするのに必要な知識や技術を身につけるための指導・訓練をおこなう場として、また地域福祉の交流の拠点ともなる場作りを目指して活動しています。
現在、17名の通所者が土・日曜日を除いた週5日間、病院用のカーテンのフック付け作業を主にし、刺しゅう、刺子、皮工芸、木工、いけばな等を、生活指導や音楽指導と取りまぜながらおこなっています。作業所の一日は朝10時の挨拶から午後3時30分の帰宅まで、曜日によってローテーションを組み、各自が能力・適正に応じて頑張っています。

■年間行事
4月花祭り、外食指導/5月春休み、地域運動会、運営委員会/6月遠足/7月誕生会、七夕/8月夏休み、 キャンプ、地蔵盆、保土ヶ谷社協バスハイク/9月演劇(映画)観賞会/10月遠足、運営委員会/11月誕生会、所内研修/12月クリスマス、餅つき、大掃除/1月新年会/2月節分/3月誕生会、ひなまつり、ふれあい保土ヶ谷祭
*毎月一回保護者懇談会

グループホーム「ダンボ」

1981年親たちが外出したり病気になった時に、安心して預けられる場所があればと願ったことから端を発し、その準備を進めているうちに、緊急一時保護から自立生活のための訓練を主とした場づくりと方向が転換され、1985年グループホーム試行事業の対象として補助が開始され正式にスタートしました。
現在、女性4名が傷害年金や親からの仕送りで生活し、日々成功や失敗を繰り返しながら成長しています。障害者が地域社会の中で自立的な生活をするための条件整備の大きな足がかりとなってくれることを願っています。

■週間プログラム
月〜金曜日/作業所通所、体験入居
土曜日/大物洗濯・掃除、体験入居

■年間行事
4月誕生会/5月保護者懇談会、運営委員会/6月ホーム周辺整備/8月納涼会、誕生会、保護者懇談会/9月誕生会/10月運営委員会/12月大掃除、忘年会保護者懇談会/1月新年会/2月節分/3月ひなまつり

ダンボの店開店

1986年12月川辺町の末広マーケットにかわいいお店をオープンしました。店員さんになりたいという所員たちの希望がふくらんでの出店です。
お店はパンやお菓子のほかに、親たちの手作りの小物も販売しています。
このような体験をとおして、一般就労の道が開けたらとか、また地域の方々に接することで「ダンボ」や障害者のことを理解してもらえたらと思っています。一度ぜひのぞいてみてください。









































































































































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