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グループホームの住まいに関する調査研究報告書


    グループホームの住まいに関する調査研究レポート 1 北海道大学 野口孝博


      グループホームエイト

調査対象3 高層集合住宅のグループホーム

名 称 グループホームエイト

所 在 地 北海道札幌市東区

設 置 年 1995(平成7)年5月

運営の主体 社会福祉法人愛和福祉会

住居の形態 高層集合住宅(賃貸マンション)の8階住戸を利用

バックアップ施設 通勤寮・ドミトリー元町

世話人居住形態 通い(40才代、女性)

認可の形態 北海道

定 員 4名(一人欠)+2名(階下に居住、食事のみ利用)

入居者属性 入居者の3名(24才、24才、21才、すべて女性)
階下居住者の2名(32才、24才、すべて女性)

障害の程度 いずれも軽度

住宅所有者 バックアップ施設

住宅の家賃 一人当たり約3万円/月

住宅共用室 居間兼食事室12畳、台所2.54畳

住宅個人空間 8畳×1室 7.5畳×1室、6畳×2室

立地条件 バス停まで徒歩2分。幹線道路沿い。

マンションの1室を借りて運営されているグループホームである。建物は8階建の鉄筋コンクリート造集合住宅で、その8階の1室がホームに当てられている。入居者は3人。すべて女性である。このほかに階下に住む2人の女性がこのホームを利用している。隣居者のホーム利用の仕方は、美香保の場合と同じで、朝食、夕食と夕食後のだんらん利用である。

住宅は、マンションとしては比較的大きな4LDK型である。個室としては8畳、7.5畳、6畳、6畳の4室確保されている。現在は一人欠員になっている。このうち居間に隣接する8畳の部屋は、2枚のふすまがふだんから開け放されているなど、プライバシーは非常に低い。他室にくらべて私物も少なく、個人の生活が制約されている様子もうかがえる。

共用室としては12畳の居間兼食事室がある。そこに食事用のいすテーブルとソファーセットがおかれている。広さとしてはまあまあで、部屋の使い勝手について居住者、世話人からの不満は少ない。そのほかに2.5畳の台所、ユーティリティ、浴室、 トイレがある。住宅の広さ、設備、部屋からの眺めや環境など、このグループホームに対する入居者の評判は概してよい。しかしその分家賃が高めになっている点については不満もある。

5. おわりに

入居者の住まい方や意識(住みごこち評価など)に関する点など一部調査上の制約もあったが、おおむね北海道における知的障害者向けグループホームの居住実態の特性をとらえることはできたと考える。

調査では一戸建住宅が圧倒的に多くみられた。現状では規模の面からも一戸建住宅が有利ではあるが、しかし集合住宅に対する要求も少なくはないと考える。とくに札幌のような都市部では入居者の通勤の便が優先されることもあり、条件的に有利な集合住宅に対する潜在需要は高いと思われる。集合住宅でグループホーム利用に適した住宅形態(規模、空間構成等)の検討が必要である。また一戸建住宅にしても、現在北海道に多い間取りのタイプが必ずしもグループホーム利用に適していない面もあり、こうした点での検討も課題である。










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