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知的障害者福祉研究 報告書


    ビデオ「街に暮らす」 日本編制作に伴うヒアリング調査


      北の沢デイセンター

「北の沢デイセンター」(通所更生施設) 説明:花崎三千子施設長

北の沢デイセンターの運営母体である札幌この実会は法人事業として、更生施設3ヶ所と老人福祉センターと合築した通勤寮を有している。
また、地域生活の支援も積極的に進めており、現在5ヶ所のグループホームと2ヶ所の生活寮及び2ヶ所の小規模作業所でそれぞれの取り組みを進めている。
北の沢デイセンターの活動内容としては概ね次のようにみることができる。

?@利用者の援助
・生産活動の支援:園芸、下請け作業(豆菓子の袋詰め、ボルト、箱折り等の企業の下請け)、実習など
・余暇・文化・スポーツ活動:行事、クラブ活動などを通した余暇・文化活動の支援)
・地域生活保障:新ライフサポート事業としてのナイトケアー、レスパイトケアーの実施
・自治会活動:本人活動の場としての支援
・就労援助:メンバー個別の問題の把握と解決のための実践(性、自立、自己決定などの問題)
・通所指導:安全教育(通所時のマナー、ルールの指導)
・健康維持・保健衛生指導

?A家族(保護者)との連携
・家族会との協力、保護者研修など
・地域生活の保障、ナイトケアー・レスパイトケアーの実施

?B地域活動
・グループホームのバックアップ
・療育相談などの相談活動
・サマースクール、短期訓練などのショートトレーニング
・実習生及び研修生の受け入れによる援助ワーカーの養成
・ボランティア活動及びその養成
・社会福祉協議会、町内会との交流・協力
・福祉講座、シンポジウムの開催などの啓発活動

札幌この実会が運営主体として支援しているグループホームは、入居者の概要は一般就労が7割、福祉的就労が3割という構成である。
年齢は20歳〜45歳くらいまでの人が現在入居している。
グループホームの利用料はだいたい6万5千円〜7万円。12〜13万円あれば何とか生活できるということである。
また、札幌この実会は平成9年4月に高齢者デイサービスセンターと知的障害者の通勤寮を合築した「センター24」を開設している。
これは、1階部分が老人デイサービス(E+B型)を行うフロア(利用者25名/日)、2階が通勤寮としての形態となっている。
合築によるメリットとして、1階にデイサービス用の入浴設備があるのだが、これを共同利用しており、通勤寮の利用者は夜いつでもこの広いお風呂に入浴できる。
また、1階の広いデイのフロアが食堂として使えるなど、合築による共同活用のメリットが様々にみられるということであった。
通勤寮としては、駅から徒歩3分のところにあるなど交通の便などからもこの通勤寮は恵まれた環境にあるといえる。
ただし、通勤寮内に生活支援センターを機能として併設しているのだが、これに対して市の補助がついておらず、法人の自主事業として120〜130名に対する支援を行っている。地域生活支援の拠点となる支援センターへの適切な補助を施策的に早急に進めていく必要性が感じられるところである。
まして、先にみたドミトリー元町の支援対象者に比べると、札幌この実会の支援対象者は障害の程度も比較的重い。行政の施策的な展開の遅れといわざる得ないだろう。






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