日本財団 図書館


次のページへ

知的障害者福祉研究 報告書


    ビデオ「街に暮らす」 日本編制作に伴うヒアリング調査


      ドミトリー元町

「ドミトリー元町」(通勤寮) 説明:小関あつ子施設長

ドミトリー元町は、通勤寮としての機能を持ちながら(通勤寮の利用定員は40名で現在在籍者は20名程度。通勤寮の平均在籍期間は1年半程度である)、現在8ヶ所のグループホーム(うち国認可5ヶ所)と生活寮1ヶ所の支援を行っている。
支援体制としては、平成7年に開設した生活支援センター「サポートinサッポロ」(職員3名体制)と連携した取り組みを行っている。
主な支援内容は次の通り。

?@職場定着の援助
・雇用の確保 ・社会保険の確保 ・最低賃金の確保 ・職場環境の改善
?A住宅の確保、自活生活の援助
?B男女間の交流、性・結婚への援助
?C仲間づくり、近隣住民等との人間関係の育成・調整
?D金銭の管理・使用方法の援助

ドミトリー元町が支援を行っているグループホームとして、特徴的にみられたのは、アパートやマンションを賃貸している形式が多いことである。(8ヶ所のうち、戸建ては1ヶ所のみ)
グループホームの家探しは懇意にしている不動産会社があり、そこからいろいろアドバイスを受けているということであった。
入居者は、障害の程度としては中軽度の方が中心となっているようである。入居者の平均年齢は20代が中心と若い。
地域での支援対象者は約100名で、このうちグループホームで生活している人の他に一人暮らし、結婚している人達もいる。
地域での支援のあり方として、性・お金について、なるべく規制をなくそうという考えで取り組んでいる。
性教育についていえば、全体では聞かない人が多いということで、個別に行っている。
一人暮らしの生活は、自由な反面孤独を感じやすいという性格がある。このことから、一人暮らしをしている人のすぐ近くに、4名居住のグループホームを入れるかたちをとっている。

お金の使い道については基本的に個人に任せている場合が多い。ただし、その使い道については、それぞれ本人が収支計画書を作成して、生活支援センターに提出するかたちになっている。そして、お小遣いは個別に銀行でキャッシュカードでおろしている。そして、それぞれ本人の預金残高明細を銀行の協力を得てもらっている。つまり、いきなり全額おろした人などはわかる仕組みになっているのである。
キャッシュカードを利用することに大きな混乱はなかった。本人達は、ゲームをよくやっているので機械に対する抵抗感はあまりないようである。(ドミトリー元町の支援対象者100名中キャッシュカードを利用できないのは1名のみ)
ただし、キャッシュカードを使うことに対する、“ものを落とす”、“なくす”ことが非常に多いことからの危惧はあるとのことであった。
お金を全面的に管理する必要がある人は全体で3〜4人程度。
FAXはお互いの意志疎通が確実にできるので、収支計画等もFAXでやりとりを行っている。
ドミトリー元町の支援対象者の半数強は札幌外の人である。最近は、普通高校を卒業した人が増えている。支援対象者は約100名。支援対象者は90%が通勤寮経過者である。地域支援は親との同居者は対象としていない。
グループホーム、生活寮における近隣との関係等対外的なことは世話人に任せている。各グループホームでドミトリー元町の名前は出していない。苦情は不動産屋にくる。
グループホームで生活している人の全員が一般就労している。しかし転職が年間50回程度ある。最賃、労働条件等の問題で事業者とのトラブルが多いのである。
職場の問題は難しい。特に古くからの“援助してきた”という自負のあるところが難しいとのことである。






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION