研究会の1メンバーとして、日本財団の援助が既存団体への助成にとどまらず、福祉委員会の活動を通じて、知的障害者の地域サービスに重要な活動の芽を育成することも大事ではないか、という意見を提案してきた。
この具体的な提案として、地域サービスの重要な拠点であるグループホームの全体を把握しうる団体を福祉委員会のメンバーの手によって作れるのではないか、と申し上げた。
その要旨は、繰り返すことになるが、以下の通りである。
1. グループホームは、知的障害者が地域で暮らすときに、どの国でも主流となった住まいである。多くの国で、入所施設ではなく、グループホームへ、という動きが見られた。
2. 日本でも、入所施設利用者10万人に対し、近年グループホームは2000ヵ所近くになり1万人近い利用者がグループホームで生活している。地域で共に生活する、という理念を生活の基本である住まいの中で具現化している。
3. これらのグループホームは、安心して暮らせるサービスが地域の中に整備された後、設置されたのではなく、グループホームの展開そのものが地域で共にという理念を広げる一つの運動という形で存在している。「グループホームで暮らす」ことが先に起こり、そこから、地域でのサービスの問題が明らかになり、地域を変えていく、そのような状況にある。
4. グループホームは、数が急上昇しているもののその援助体制は貧困であり、加えてその運営が国や各地方自治体の多様な補助を用い、異なる法人の運営団体によって進められているため、その全貌を把握し、問題を明らかにし、改善の運動をおこす力になっていない。
5. グループホームの活動を現場で中心になって行ってきた人々による会を福祉研究会のワーキンググループとして作り、その会で調査や研修を実施し、今後の「グループホーム連絡協議会」へと発展する方向へと援助する。
この案は、5年目には、現実にはグループホーム運動を日本の中で中心となって進めてきた人々が財団より委嘱され会合を持つ段階に至ったものの、その段階で止まっている。今後、日本財団が知的障害者福祉研究会を存続するのであれば、(ぜひ存続して欲しいと願っているが)委嘱した人々の力を再び借りて、地域で共に暮らせるサービスにはずみとなる運動母体の育成に力を与えて欲しいと思う。
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