知的障害者のコミュニティインクルージョンは世界的な動向となり、その可能性が実証されている。しかも障害の種類や程度は、その実現にとって無関係であることも分かってきた。本研究会でこれまで取り組んできた居住のインクルージョンのみでなく、われわれが国立秩父学園を含む数ヵ所で実証してきた(Tomiyasu et al.,1996)のように、入所更生施設においても、援護就労の実施が可能であり、この実施によって、居住者の生活の質の向上が見られることが分かってきた。しかしこうした実践は、まだ一部に限られており、いっそうの普及が望まれる。
したがって、収容更生施設での援護就労実施のモデルを構成し、分かりやすい視聴覚媒体を作成し、就労でのインクルージョンの仕方を普及することを研究事業の重点の一つとして提言したい。

文献
Tomiyasu, Y., Taniguchi, N., Daichoh, A., Takao, K., & Matsuda, T. (1996)：Initiatives of supported employment for people with disabilities in Japan.　Symposium conducted at the meeting of the 10th World Congress of the International Association for the Scientific Study of Intellectual Disabilities, Helsinki, Finland, July 8-13, 1996.