*11 上記の4]「ケアの混合経済」について。これが政府による供給者の「買い上げ」という方式のもとで行なわれる場合には、いったん買い上げられた後は契約を結んだ組織による独占ということになる。このような方法では、行政サイドはサービスを安く買うこと、安くすませることはできるかもしれないが、サービス供給者間の競争が働かないし、供給者の目はサービスの利用者に向かわないから、質の向上につながらない。cf. Deakin[1996]
このことは、サラ・ペイン氏も指摘している。
「最終的なユーザーは、サービスの受益者ではあっても、購入者ではないというのが大きな問題になっています。購入者というのは、依然として地方当局なわけです。これは保健医療サービス、あるいはコミュニティケアサービスにおいても、真の意味での市場方式というのは成り立たないと言うことが出来ます。ユーザーというのはサービス購入者ではありませんから、現状においては、ユーザーというものは実際に自分の選択をすることができないわけです。」(Payne[1997:31])
コミュニティケアにおけるコストの問題(→上記の6])についてはNetten et al. eds.[1993]、Wright et al.[1994]。
*12 ピア・カウンセラーとは自立生活を実践している障害者であって、以下の事項に関して他の障害者の相談や助言ができるだけの幅広い知識と経験を有する者である。すなわち、介助者との良い人間関係づくり、日常生活に必要な医療的知識、住宅探し、住宅改造、福祉機器の利用、福祉制度の活用、カウンセリング技術、社会的資源の活用、コミュニケーションの方法、金銭管理、危機管理、家事、交通アクセス等に関して、自らが情報提供あるいはサポートができるか、事柄自体に詳しくなくともどういったところに情報アクセスすればいいのかを知っている者である。これらを学べる組織として、JIL(全国自立生活センター協議会)の主催するピア・カウンセラー養成講座があり、40時間の課程を修了するとJILの認定が受けられる。もしくは全国63ヵ所にある自立生活センターで頻繁に開催される自立生活プログラム講座や、ピア・カウンセリング講座を受講する方法がある。cf. ヒューマンケア協会[1992]、全国自立生活センター協議会&東京都自立生活センター協議会・ピア・カウンセリング小委員会[1994]。
*13 関連する発言として以下。
「竹内 セルフケアマネジメントは身体障害者のIL運動からスタートして、結局彼らが到達していったのが、社会的なサービスをみずからの判断と力量のなかで組織化し、あまりそこに関しては他人の手を借りなくて済むようになること、それが本当の自立とよんだわけです。そういう発想がこれからは増えてくる。……今までは米は米屋に買いに行った。それがスーパーマーケットで賄えるようになった。そこでいろいろな買い物の仕方を生活者は身につけていくわけです。それと似たような現象が、要介護のサービスの世界にも広がっていく可能性がある。
そうなったときに、自分には何が必要かというのをわりに賢明に判断して、今まではケアマネージャーに判断してもらったのを要領がわかってきたら、自分で判断できるようになっていく時代が来るのではないですか。……
竹内 イギリスでは必ず集団化が先なんです。ユーザーがグループをつくって情報交換が盛んに行われている。そこで賢い消費者になっていく。これからセルフケアマネジメントを方向づけるとしたら、ユーザー団体とか、介護者団体とか、いろいろな消費者団体をつくって、その間で自己調整とか、自己研鑽みたいな活動が必要になってくるでしょうね。
白澤 ピア、仲間というのが大事になってくる。だからセルフケアマネジメントというよりピアマネジメントと言えますね。」(白澤・竹内[1997:39])
*14 直接給付についてはDepartment of Health[1996]。民間団体が出している障害者に情報を提供するガイドブックの一部でも(Paterson[1997:184-186])取り上げられている。NCILによる紹介(NCIL[1996])もある。Campbell & Oliver Mike eds.[1996:164,170-171,198,201]でも言及されている。他に、オンタリオ州のシステムについてCenter for Independent Living in Tronto[1994]。
本報告書、資料編も参照のこと。
*15 公的介護保険において想定されているケアマネージャーの養成システムについては全国社会福祉協議会・企画部[1997]。研修カリキュラムについて論じているものとして谷口[1995]。