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5 新しい文化の創造をめざして

 

(1) 希望に沿って考えよう

これまで話してきたモデルでは、障害者は全体としての存在ではなく、分割して考えられてきている。しかし、障害のない人が自分たちの問題を考える時には、そのような分割した方法では考えない。彼らも病気や教育など様々な問題を抱えているが、それを自分のなかの部分的な問題としては考えないだろう。また、障害者が自分たちの問題を分割して考えていく一方で、専門職が何百にも増えて、それぞれが障害者の一部分だけを理解している。

私たちがつくるモデルは、私たちにとって意味のあるものでなければならない。これまでは、障害者のなかに何か問題があって、その部分にアプローチしていこうとするやり方だった。施設に押し込められてまた地域に戻ってくるプロセスでは、圧倒的多数の医療分野の専門家の影響を受けており、その影響によって障害者自身が自分は問題のある存在だと考えていることは憂慮すべき点だ。

障害者運動をリードしていく人たちは、別の文化を考えるべきである。今までの文化は保健や福祉のものであり、現在の文化は機会均等化である。しかし、私はその先の新しい文化を提示していきたい。次の文化が何かという答えは、障害者の運動から出てくる。私は運動を担う人々に、考える材料を提供したい。他の人が考えることに単に反応するのではなく、新しいものを考えていかなければならない。

私たちが望むような種類の社会とは、障害者が自立している存在であり、安全な状態にある社会である。先ほどは、障害者には問題があって何らかのサービスが必要であるという形態別で考えてみた。そのなかでは障害者は「死んだ存在」で、何らかの援助を必要としていた。ここから先は、障害者を人間として考えてみる。その際には、別の設定で思考してみたい。 

移動の問題は、その人が歩けるか否かに関わらず出てくる。その人が仕事をしたいと考えた時、その人に欠陥があるから解決しなければならないのではない。その人にニードがあるからではなく、その人に希望があるから解決しなけれならないのである。障害がある人は、障害があるからではなく、希望することがあるから解決策を探す。移動のためには公共交通があるが、この政策が崩壊したときには歩いて帰らなければならず、その瞬間にその人は自分は問題を持つのだと感じる。

私たちは自分たちの希望に沿って考えなければならない。自分たちの希望は評価(アセスメント)してはいけない。問題がある存在とみれば問題に基づくニードがありそのため

 

 

 

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