日本財団 図書館


(4) コミュニティケアの問題点

支援が円滑になることを望んでつくられた原則も、実際には徹底されなかった。

うまくいかなかった理由は、権限が地方自治体の複数に及んでいることにある。ロンドン首都圏について言えば、ロンドン当局と、メトロポリタン当局、ユニタリティ当局の3つの自治体が関係する。都議会の地区の議会で住宅政策を重視しようとしても、社会サービスや住宅サービスについては議員が権限をもつが、保健サービスについては議員は関与できず、政府が直接提供している。手当てに関しても、国の意向が直接反映される。様々なサービスがうまく機能するようにと国は考えるが、それぞれ予算の所管が異なるので、縦割りの行政機構が連携できない要因になっている。

地方自治体では、違う担当間では文書でやり取りしているが、うまく機能するためには担当官相互が文書ではなく実際にコミュニケーションをとって、意志疎通を図っていく必要がある。

重要なのは、保健サービスと社会サービスの間の連携によって、交通事故で障害者になった人への援助の方法が異なることだ。原則としては、退院後自宅で生活することが保障されているが、サービスをどの程度受けられるかは、地方自治体がその人のニーズをどこまで判断するかによると考えられる。Aの地方自治体では、障害者のニーズに対して、起きる介助、着替えの介助、入浴サービスを提供する。Bの地方自治体では、日常のケアは家族が行い、それ以外のことについてサービスが提供される。Cの地方自治体では、ダイレクト・ペイメントを実施する。障害者の側にサービスの内容についての選択権があるか否かは、住んでいる地方自治体の判断による。ランベスという地域のソーシャルサービスでは4つのチームがあり、Bの例を選択することが多い。

 

(5) ニード評価の方法

自立生活やダイレクト・ペイメントにとって、アセスメントは重要な要である。古いアセスメントの考え方では、ニーズを考慮に入れていない。障害を作るのは環境であって、損傷ではない。医療モデルは、機能を問題にするので使いものにならない。社会モデルをつくる必要がある。障害者は、コミュニティケアは資源や財源の問題でなく、権利擁護の視点で実施すべきと考えるが、政府はそれとは異なった考え方をする。

アセスメントでは、最初にニーズの評価を行う。アセスメントを依頼すると、社会サービス局が担当となりケアラー(障害者に係わってきた家族やそれに類する人)と一緒に訪問する。障害者のニーズとケアのニーズとの間には相違がある。ケアラーは障害者をコントロールすることがあるからである。

ニーズの基準はどこにも規定されていない。言語化されたものは無いので、辞書に頼るしかないのだが、この言葉の意味については、関わる人たちによって異なって捉えられて

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION