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1 英国のコミュニティケア

 

(1) コミュニティケアの法律

英国のコミュニティケアについて話そうと思うが、コミュニティケアは複雑な問題であり、百人に聞けば百通りの答えが返ってくる。それだけ概念が難しい。

障害者の権利の基盤になっているのは法律である。政府の各庁は法律に基づいて指示やガイドラインなどを出す(表1)。その数は150以上と言われている。

 

【表1】 権利の根拠

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法案を提出する方法は2通りある。1つは、政府が法律のガイドラインを出して、地方自治体が議会で賛否を取るという方法である。もう1つは、議員が個人的に出すもので、この方法でつくられたのが1970年の慢性疾患・障害者法(CSDP)である。

英国議会は二院制で、上院と下院がある。法案は上院か下院に提案され、どちらからと定められているわけではない。提案されると印刷されて、誰でも読むことができる。2回目のリーディーング(政策に適しているかどうかの検討)の後に、委員会に提出されて、詳細に審議される。3回目のリーディングは報告を兼ね、下院か上院に提出され、再度上院か下院に提出されて採択されたら、王室に提出されて女王の承認を得る。可決された日から発動する。そこで可決されなければ廃案になる。

CSDP法は、モリアス議員が紹介(法案提出)議員となった。民間団体の力で、15年の間に13の法案が提案された。常に、働きかけてきた成果である。ダイレクト・ペイメントの法案は、政府が直接提案したものだ。CSDP法は障害者に不利な内容となったので、それを補うための別の法案を作成して議会を通過させた。政府を支持する団体と反対する団体では意見が異なるが、両者に働きかける。その場合、皆が同意するように原則的なところを確認して、個別的な部分は個別に調整している。

 

(2) コミュニティケアの歴史

コミュニティケアは「救貧法」に始まる。1942年に、社会保険とそれに関わる法律に関する法委員会のビバレッジによる「ベヴァリジ報告」が提出され、1944年に「教育法」が

 

 

 

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