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8. 地域・関係団体との結びつきの強化

 

(1)地域社会への開放

造船業のイメージがなかなか改善しない背景には、造船所が積極的に情報をオープンにしていないことにも一因がある。造船所が工場見学を拒んでいるわけではないが、定期的には取り組まれていない。

イメージアップや「船つくり」の楽しさ、素晴らしさを地域社会に向かって呼びかける試みが求められる。イベントへの船舶模型の展示等はみられるが、これだけでは訴えかけるものが乏しい。

地域社会との接点を一層拡大していく必要がある。

幸い「海の日」が制定され、海にちなむさまざまな行事が行われている。今後において、造船所の見学会等を開催して、溶接ロボットによる溶接実験、制御機械コントロールルーム、水槽実験による船型改良等を地域社会の人の目にふれさせていき、ハイテク(先端技術)ぶりを認識してもらう。さらに、造船あるいは船そのものの将来の姿に「夢」を与えていくことが必要である。

一番良いのは進水式への招待であろうが、これについては日時が一定しないことから、時期を選んで地域の小学校・中学校の学童・生徒に見学させる等の配慮が考えられよう。

こうした地域社会への開放の地道な努力が長期的取り組みとして望まれよう。それが造船に携わる人の確保にもつながってこよう。

 

(2)地方自治体との連携

今までは、地方自治体との関係は、不況時の労働者雇用対策は地域問題として取り組まれたが、それ以外の分野では、造船業・舶用工業は国の所管として関係が薄いのが現状であった。

しかしながら、地域社会において多大な関係を有している造船業並びに関連工業が、今後も発展していくためには、地方自治体との関係強化が必要である。

新たな海洋技術開発の舞台としてメガフロート等の四国地区における開発・建造・設置を展望したとき、地方自治体との調整が避けて通れない。特に、計画立案段階においては、海面使用において地方自治体との調整が不可欠である。漁業関係者との調整においても、地方自治体の協力が欠かせない。建造(発注)・設置においても、当面は行政機関が先導する必要性があることから、地方自治体に対する期待は大きい。

 

(3)金融機関との連携

四国地区においては、造船業と海運業とは二人三脚で発展してきており、地元船主が近代化を果たして来れたのも、金融機関の資金供給によるバックアップが大きかった。

これからの造船業の発展を考えるとき、海運業者に対するものも含めて、金融機関の支援が不可欠と思われる。設備の近代化等の資金需要を満たしていくには、公的機関等による融資資金に加えて、民間金融機関との協調が欠かせない。

 

(4)運輸施設整備事業団・日本財団等の支援

運輸施設整備事業団(旧船舶整備公団)は、共有建造方式により、国内旅客船及び貨物船の近代化・合理化を推進している。国内旅客船の高速化・大型化等、一層の輸送サービスの改善、内航海運のモーダルシフト推進、海洋汚染防止のための船舶の質の向上等の必要性がある。船舶改造に関する融資及び運転資金等に関する債務保証業務も行っているところである。

日本財団においても、造船、舶用機器の製進者に事業体質改善等に要する運転資金・設備資金の融資を行っており、四国地区の造船・舶用工業についても、資金の貸し付けを行っており、これら支援策を活用していくことが必要である。

 

 

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