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4. 地域活性化への効果

 

(1)仕事量に対する効果

メガフロートの建造に取り組むことによる、仕事量の底上げ効果を試算する。

工数で把握することは困難であるが、鋼材使用量がほぼ仕事量に比例しているものと考えられるため、鋼材使用量で比較した。

メガフロートの利用例として今回提案する例の場合、鋼材使用量は次の通り。

●鋼材使用量

◇浮体式競艇場              73,000トン(注)

◇浮体式人工島スポーツ・レジャー施設   260,000トン(注)

(注)いずれも下部構築物のみ。上部の構築物は別途

◇浮体道路

100メートル当たり       3,000トン

◇四国地区造船業での使用量

鋼材使用実績  614,610トン(平成8年実績)

*建造許可船(2,500トン以上)が集計対象

これらから、例えば浮体式競艇場の場合、建造量にして四国の建造量のほぼ12%以上に相当する。上部構造物も想定すると、さらに仕事量は膨らむ。

VLCC(26万D/W)が鋼材使用量41,000トン、パナマックス級(5万D/W)が厚板使用量7,000トン程度である。これと比べると、メガフロート(浮体式競艇場の例)はVLCCの2隻分弱、パナマックス級10隻以上に相当する効果を持つ。

既に、前章でもみたように、2005年を境に急速に建造量・仕事量が減っていくことが懸念される。仮に、2006年度以降に四国地区でのメガフロート建造(浮体式競艇場)が実現すると仮定すれば、次の図の通り、仕事量の減少を食い止める効果を持つことになる。(上部構造は含まない)

造船所においては、浮体式構造物としてどのようなものを造るかにもよるが、船舶艤装工程が減少することに対する懸念がある。効率的に建造工程を流すためには、中型・小型造船所との共同建造体制の構築により、大組みのみ大手造船所で行う等の対応が必要である。

また、上部構造物も造船所で取り組めるよう、関連技術の蓄積に努めておくことが必要となる。

 

 

 

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