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第2章 四国の造船業・舶用工業の現状

 

四国地区は造船業、殊に中小造船所が多数集積し、過去数回の不況にも耐え、発展してきた。昭和62年の不況以降は、順調に建造量を増やしてきており、特に近年は外航船を積極的に受注し、200万総トンを上回る建造実績を上げている。しかし、最近、専ら内航船を建造してきた造船所は手持ち工事量が激減しており深刻な状況にある。

設備投資を計画的に行ってきたところとそうでないところ(小型造船所が主)とで、生産体制に格差が付きつつある。また、現場を支える労働力の高齢化が進み、このままではあと10年も経たないうちに、建造現場で混乱をきたすことすら懸念される状況となっている。

舶用工業は、大半が小規模で、近年は好調な船舶建造に支えられ、仕事量は多いものの、採算性の向上や労働力の確保が課題となっている。

四国地区における造船・舶用工業の製造業に占める割合は5%に満たないものの、輸出額に占める割合は40%を超えており、輸出産業として貢献している。しかしながら、造船業は「自己完結性」が強く、地域との結びつきは今まで強くなかった。

 

1. 造船工場数とその分布

 

四国の造船事業者数は135(許可59、登録62、届出14)あり、全国の11.2%を占めている。造船工場は146工場(うち鋼造船所100)あり、瀬戸内側に集中している。

瀬戸内地域は、全国的にも歴史のある造船所があるほか、中手の集積地としても知られている。香川県中部、愛媛県今治地域のほか、広島県中部・東部、大分県南部にも多くの造船所が集積している。とりわけ、中小造船所(500総トン以上、長さ50メートル以上又は10,000総トン未満)の造船所が多数集積しており、四国地区の中小造船所では、広島や大分の造船所と競合関係にあるものが多い。

 

 

 

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