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第7章 兵庫県の中小造船業のビジョンとその達成方策

前章までで、兵庫県の中小造船業の事業特性及び現状並びにそれを取りまく環境変化から生じている問題点と解決方策について整理した。本章では、今後の兵庫県の中小造船業のビジョン(あるべき姿)を策定し、ビジョン達成に必要な具体的方策について検討する。

 

1. ビジョン策定の手順

ビジョン(あるべき姿)とその達成に必要な方策検討は以下の手順で行った。

 

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2. ビジョン目標年における兵庫県の中小造船業を取りまく状況

ビジョン目標年(2005年)は、7年後であるが、目標年の前後の期間における中小型船(100総トン以上5,000総トン未満)の需要予測結果を海運造船合理化審議会が平成9年!2月にまとめた意見書で見ると、現在の供給能力が48.4万総トンであるのに対し、平成9年から12年までの年平均需要は22.6〜31.0万総トンとピーク時の約半分にまで激減し、その後は過剰船腹の解消等により回復に向かうものの、平成18年〜22年の期間においても年平均34.5〜37.6万総トン程度にとどまると見込まれている。

このように需要が伸び悩む背景には、荷主における物流合理化の進展(共同輸送やスワップ等)による内航輸送回数の減少や漁船需要の長期停迷などがある。また、より短期的に見ると、内航船の船腹調整事業の解消に係る問題により、内航船の建造が手びかえられ、中小造船所は、現在は受注が大幅に減少しており、経営上必要と考えられる半年分の手持工事量の確保も困難になっている事業者が多い。

また、新造される内航船は大型化の傾向を示すとともに、ハイテク化しており、物流経費

 

 

 

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