? DN値の2値化による分類
1) スペックルノイズの除去
SARではスペックルと呼ばれる細かい斑点が画像上に現れる。SARの受信する信号強度はビームの照射面内にある多数の散乱面からの散乱の和となるが、信号を合成するため衛星が移動することにより信号強度がランダムに変動する。この変動が画像上に斑点状に表現される。
スペックルは肉眼による判読性を低下させる他、エッジ処理等の解析に影響を与えると考えられる。SAR画像では通常ルック処理(アジマス方向(衛星の進行方向)に合成開口区間を分割し、それぞれの区間で画像を構成した後に加え合わせる操作)によりスペックルを低減しており、本画像でもアジマス方向に4ルックのルック処理が行われている。
ここではさらにスペックルを低減させ、流氷画像の判読可能性を向上させる一方、エッジ強調等の精度を落とさないことを目標に各種フィルターのテストを行い、検討を行った。
フィルターの効果を比較するため、全体画像から特徴的な部分を抽出した1000×1000ピクセルの部分画像を取り出し、それぞれのフィルターをかけたものを図15にならべて示した。
i) 平均フィルター
a) 概要
対象とする範囲(9×9ピクセルなど)で各ピクセルのDN値を平均して中央のピクセル値とするフィルターであり、スムージングを目的に使用されることが多い。図12に3×3の平均フィルターの動作を模式的に示した(各ピクセルのDN値に演算子の数値を掛けて足しあわせたものが中央のピクセル値となる)。

フィルターサイズとしては3×3および9×9の2種類を使用した。
b) 結果
平均フィルター(3×3)ではスペックルが十分に落ちておらず、判読性は原画像と変わらない程度であった。白く表現された部分でスペックルが目立つ傾向は原画像と同じであった。
平均フィルター(9×9)ではスペックルがかなり低減できた。全体にコントラストが弱くなったが、判読性を損なう程ではなかった。