通常、表面粗度は大きくなり後方散乱が増大するためSAR画像上では高い輝度で表現される。
ただし、表面の融解により水分の膜がある場合や再結氷により表面が滑らかになっている場合などは、表面粗度が低下し後方散乱が減少、SAR画像上での輝度は低くなると思われる。
また、この状態までの海氷はブライン(結氷時に氷から排出される高塩分な海水であり、海氷中にも取り込まれている)を含んでおり、誘電率が高くマイクロ波の減衰が大きい。このため海氷内部へのマイクロ波の進入は小さく、後方散乱は主として表面散乱によっている。
? 多年氷
夏季の間に海氷の表面は融解し、冬季に再結氷することで塩分が排出される。このため、多年氷ではマイクロ波がある程度海氷内に進入することとなり、表面散乱に加えて体積散乱も生じ、後方散乱は増大する。一方、融解により表面の粗度は減少する傾向を示すため後方散乱を減少させる。
これらの過程を図7に模式図として示した。

(3) オホーツク海の流氷の特徴
オホーツク海ではすべての流氷が一年氷であり多年氷は存在しない。
オホーツク海の地理的特徴は流氷の見られる最南端の海域ということである。流氷の一部はオホーツク海北部から北海道沿岸まで移動するが、その間に気温が上昇して部分的に融解したり、流氷上に積雪があったりして変質する場合も考えられる。北海道沿岸ではこ