かった。JERS-1でよい結果が得られなかった理由は入射角が大きいと表面粗度が効いてくるため、温度の効果が相対的に小さくなってしまうことによると考えられる。
? マイクロ波放射計による流氷密接度の測定について
放射計による密接度測定は、海面と流氷面とでは放射輝度が異なること、混在による放射輝度の変化と面積比がリニアに対応することが前提となっている。ただし、流氷の放射輝度は放射率(ε)によって変化するため、積雪の有無、温度、塩分で変化する。
主要なアルゴリズムはBootstrapとNASA Teamの2種類が有り、Bootstrapは19GHzと37GHzの後方散乱係数から、NASA Teamは19GHzのH/V偏波と37GHzのV偏波を利用している。これらのアルゴリズムは条件(海域や季節)によってどちらがより合うかが異なるが、オホーツク海ではBootstrapアルゴリズムのほうが良いという航空機の検証成果がある。
? マイクロ波放射計による密接度の実利用について
放射計による密接度測定は空間分解能が小さい(良くても25×25?)ことである。
実利用の一例として、北極航路航行の際にマイクロ波放射計による画像で航行する海域を大まかに選定した上で、SARにより細かな航路を決定した例がある。
? 流氷域抽出の自動化について
流氷域の自動抽出はまだ難しいと思われる。また、流氷の種類、厚さの判読も同じである。
? 流氷の起源について
アムール川起源(淡水起源)の流氷も現場で凍った海氷も塩分濃度は大きくは変わらない(流氷も凍る過程でブラインを排出し塩分濃度が低下しているため)。そのため後方散乱係数から両者を分離することは難しい。