日本財団 図書館


第8章 故障対策

 

故障の原因は、その故障状態によりいろいろ考えられるが、いかなる故障でも、まず初めに供給電圧、コネクタ及び接続ケーブル類の接続状態などを確認することが大切である。また、部品の不良以外に調整不良、装備不良が故障原因になっていることも少なくないので、これらの点検あるいは再調整することも有効である。故障状態は、単独回路の単独故障もあるが、大体は回路的に前後関係のつながりがあるから、途中の回路が故障すると、それ以降の回路は働かないことになる。したがって、修理の場合は故障回路を適確に判断し、修理することが大切である。

故障の探求を行う場合に、あらゆる機種について共通していえることは、まず、その機種の特徴をブロックダイヤグラムでしっかり把握することである。これは、同じ現象であっても機種が異ると故障箇所が異ることがあるからである。

また、ヒューズの溶断という故障については、その機種の電源系統をしっかり把握することと、そのヒューズにどのような負荷が接続されているか、更にヒューズの溶断の状態等にも注意を払う必要がある。さらに、部品の変色、におい、音、熱等にも神経を使って、常に冷静に表面に現れている現象から、故障箇所を推理探求することが肝要である。

なお、半導体部品は、過電圧、過電流に非常に弱いため、部品変換の際は、部品の接触による事故、回路のアンバランスなどの悪影響を避け、また、保安のためにも必ず電源を切ってから行うようにすること。

 

注意

1. 変調器、送受信機及びCRTなどは生命に係る高電圧を使用しているので十分注意すること。

部品を交換する前に必ず〔POWER・電源〕を〔OFF・断〕とし、また、できるだけ船内電源スイッチも断(OFF)の状態にして行うこと。

2. 高電圧の部分を取り扱う場合には、〔POWER・電源〕スイッチは〔OFF・断〕にしても各部に蓄電されているので、必ずこれらを完全に放電させてから取り扱うこと。

3. トランジスタやダイオードなどの半導体素子を多数使用しているときには、取扱い上、次の点に注意すること。

(1)回路試験器(テスター)で各部電圧を点検する場合には、測定レンジを確めること。抵抗あるいは、電流レンジで測定すると、半導体を破損するおそれがある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION