FTC(Fast Time Constant)回路は雨雪妨害除去回路ともいわれ、雨や雪などからの反射波がCRTに現れると物標からの反射波がマスクされ、その識別が困難となるので、これを防止するための回路である。FTCの原理は図3-38のような微分回路で、通常のFTCスイッチがOFFのときは、負のビデオ信号はC2Rで決まる時定数で微分されるが、この時定数は普通の低周波増幅に使われる程度のもので相当大きくしてあるので、入力波にはなんらの変化も与えず波形の崩れも無視できる。FTCのスイッチをONすると、ダイオードDにはバイアスが掛かって、カットオフになり、ビデオ信号はC1Rで決まる時定数で微分される。そこで、C1の時定数を小さくとっておけば、ビデオ信号は完全に微分されることになる。