2. 各種船舶の危険場所及びその場所の電気設備
2.1 一般
危険場所とは,電気設備の構造及び使用について特に考慮を必要とするような量の爆発性雰囲気が存在するか又は,存在するおそれのある場所をいい,このような場所にはできる限り電気設備を設けないようにすべきであり,設ける場合には必要不可欠なもののみにとどめる必要がある。
2.2 一般船舶
船舶に共通する危険場所には,一般的に,蓄電池室,ペイント室及びアセチレン庫が掲げられる。これらの場所に電気機器を設ける場合には以下による。
(1)蓄電池室
電気機器は,爆発等級3a(又は3n),発火度G1以上,又は,IECに規定されるガス蒸気グループIIC,温度等級T1以上の性能を有する耐圧防爆形又は本質安全防爆形とすること。
但し,内装形軸流通風機は,駆動電動機が防爆形であっても設置が認められない。
(2)アセチレン庫
電気機器は,爆発等級3c(又は3n),発火度G2以上,又は,IECに規定されるガス蒸気グループIIC,温度等級T2以上の性能を有する耐圧防爆形又は本質安全防爆形とすること。
(3)ペイント室
電気機器は,爆発等級2,発火度G3以上,又は,IECに規定されるガス蒸気グループIIB,温度等級T3以上の性能を有する耐圧防爆形又は本質安全防爆形とすること。
2.3 自動車運搬船
自走用の燃料をタンクに有する自動車を積載運搬する船舶の電気設備は次による。
(1)貨物倉に設置できる電気機器の形式は表10.6のとおりである。この場合,内圧防爆形機器及び安全増防爆形機器は,発火度G3以上又はIECに規定される温度等級T3以上の性能を,また,耐圧防爆形機器及び本質安全防爆形機器は,爆発等級2,発火度G3以上,又は,IECに規定されるガス蒸気グループIIB,温度等級T3以上の性能をそれぞれ有するものとすること。
なお,ガソリン蒸気が滞留しない構造の車輛甲板(例えばグレーチングデッキ)は,ここでいう車輛甲板とはみなさなくてもよい。
(2)貨物倉に開口(気密でない扉,ハッチ,窓等)のある隣接区画の電気設備については,貨物倉と同一区画として取扱う。