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1章 SOLAS条約の概要

 

海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS条約:The International Convention for the Safety of Life at Sea)は海上における人命の安全を確保するために必要な,船舶の構造,設備等に関する技術的要件を定めたものであり,海事関係の基本的条約である。

SOLAS条約の歴史は古く,1912年に起きた客船タイタニック号の沈没事故を契機として,ロンドンにて国際会議が開かれ,1914年SOLAS条約が採択され,1915年7月に発効することとなっていたが,ヨーロッパにおける戦争勃発により発効しなかった。その後,1929年条約(1933年1月発効),1948年条約(1952年11月発効),1960年条約(1965年5月発効)といった変遷を経て,現在の1974年条約に至っている。

 

1.1 1974年SOLAS条約

 

1974年ロンドンにて,71ヶ国の代表者出席のもとに,海上における人命の安全のための国際会議が開かれ,1960年SOLAS条約にかわる条約として,1974年SOLAS条約が採択され,1980年5月に発効した。

この条約は,発効要件,改正手続き,署名と受諾等条約の原則を定めた条約本文と,船舶の構造,設備についての技術的要件を規定した附属書から構成されている。

(1)条約本文

13条からなり条約に基づく一般義務,適用,改正手続,効力発生等についての規定

(2)附属書第I章「一般規定」

各種の船舶に対する検査及び本船が条約の要件に適合していることを証明する書類の発行についての規定

(3)附属書第II-1章「構造(区画及び復原性並びに機関及び電気設備)」

船舶の耐浸水性能及び復原性に関する規定,船舶に備える機関及び主電源,非常電源等の電気設備に関する規定

(4)附属書第II-2章「構造(防火並びに火災探知及び消化)」

防火壁等の防火構造,船舶内における火災探知のための設備,消化設備等に関する規定

(5)附属書第III章「救命設備等」

救命設備の要件,備付数量等に関する規定,救命設備の維持に関する規定,救命設備に係る操練に関する規定

(6)附属書第IV章「無線電信及び無線電話」

船舶間の主通信設備である無線電信及び無線電話に関する規定並びに無線を使用する設備の要件

 

 

 

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