っと多くなる。ところが、今スーパーへ行って、魚屋の棚を見ても、季節はわからないです。今は春なのか、秋なのか、全然わからない。それくらい同じものが同じように並んでいるわけです。それが便利だとおっしゃるなら、それはお魚の消費の仕方が間違っている。お魚の消費が間違っていれば、当然漁業は狂ってくるわけです。私は漁業の不振はそういうところに大きな原因があるのではないかと思っています。
つまり、日本人の農耕民族あるいは漁労民族としての得意である、少しずつでも多くのものを利用して、それを食べていくという知恵です。それを食べるのに大変な技術と経験によって、技術の開発をしたり、調味の開発をして、日本料理を開発してきたわけです。そういう努力を忘れてしまって、何か知らぬけれども、その辺でパックに入っているお刺し身を買ってきて、それを食べて、これがお魚だというお魚の食べ方をしていれば、おいしくないとか安いとかいうだけの話ではなく、そんな食べ方をしていて日本の漁業が維持できるとは僕は思いません。消費が生産を支えることは明らかな話です。変な話になってしまったのですけれども、そのことは最後に申し上げておきたいと思います。
ほぼ時間になりました。まだお話し申し上げたいことがたくさんあるのですけれども、最後に、これをちょっとご説明させていただいて終わりにしたいと思います。
(OHP5 人間の食の範囲)
これは私が勝手につくった図です。真ん中に人間がいます。人間の周辺に一番近いもの、人間と生物学的にも割と近いのが哺乳類です。ウシやブタが入るわけです。その哺乳類の外側に魚貝を置きました。そして、その外側に昆虫が入ります。その外側に植物があるわけです。その植物の中身は、穀類から山菜、野菜、果物、木の実、海草と皆入ります。これはこう見ると、何かわけがわからないですけれども、これを横の方から見ていただきたいのです。ちょうどピラミッドになっています。ピラミッドを上から見たとお考えください。一番上にいるのが人間だ。一番下を支えているのが植物です。我々が食べているのは、量的にはこういう植物が圧倒的に多いわけです。それから、昆虫が多くなり、魚介類が多くなり、哺乳類が多くなり、人間という格好になります。
ですから、人間がこういう自然の生産に依存する、あるいはカルチャーをやる場合に、なるべく雑多なものを食べること、つまり雑食をする。雑食をするというと、いかにもゲテモノ食いに聞こえるかもしれませんが、私はそうではないと思います。雑食ほど人間的な食はないだろうと思います。雑食のすすめを私はあちこちでいって歩こうと思っております。
どうもありがとうございました。(拍手)
質問
今のお話で、世界の人口の三分の二が開発途上国で、その人たちの所得が上がりますと、彼らの食パターンが上がってきて、魚の消費もふえるということですけれども、そうなりますと、魚の供給の面で一体どういうことになるのでしょうか。