国際漁業を巡る最近の諸問題
外務省経済局漁業室長
高瀬康夫
ご紹介にあずかりました高瀬でございます。
今瀬崎専務理事からご紹介いただきましたが、去年の一月から外務省の漁業室長をやっております。せっかくご紹介いただいたので、自分の経験なんかも含めて、まず本題に入る前にお話しさせていただきます。
ただ今ご紹介いただいたように、私、七六年に外務省に入省しまして、すぐ漁業の担当となりました。ちょうどその年、海洋法会議は真っただ中だったのですが、漁業に関しての二〇〇カイリ、必ずしも経済水域まではいってなかったが漁業水域の設定が始まった。水産関係の方はよくいいますけれども、二〇〇カイリ元年、アメリカのいわゆる二〇〇カイリ漁業水域法ができた。七七年に至って、ロシアというか、当時のソ連、カナダといった国が相次いで一方的に漁業に関してだけですが、二〇〇カイリを引いた時代。対抗上、日本も七七年、法律ができたのは五月だと思いますけれども、漁業水域暫定措置法をつくった。まさにそういった時代に国際漁業の仕事をやり出しまして、そのときは、とにかく今までとっていたアメリカとか、ソ連といったところの二〇〇カイリに引き続き入漁する、入っていくための交渉が主だったわけです。
その後、海洋法条約が八二年に採択されて、ご承知のとおり発効は九四年でしたか、去年日本が批准したところですが、自分のことを余り話すのは適当ではないかもしれないですけれども、実は八一年まで、私担当としてやって、それから外務省員の流れというわけで、外国を回ったりして、八八年にまた首席事務官というポストで、今の漁業室に戻ってきた。そのときは以前からありましたが、公海漁業の大幅な規制の始まりという時期にちょうどぶつかったような気がします。瀬崎大使が一番ご存じですけれども、公海の流し網漁業が規制を受けるとか、あるいはいずれ簡単に触れさせていただきたいと思いますけれども、昔から伝統的だった公海サケ・マス漁業は撤退して、公海サケ・マス漁業については禁止条約をつくったとか、そういった時代になっております。
その後、今回漁業室に戻ってきたら、ちょうど海洋法条約の批准、先ほどご紹介ありました通称国連公海漁業協定ができて、