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チチャンネル・アナライザーを始めとして、最新の海底探査機器を搭載している「かいれい」は地球物理・地質の専門家にとっては最高の研究船であるかもしれない。しかし、プランクトン・ネットで採集をしながら研究航海を組み立てるタイプの生物学者にとっては、およそ使いたくない船となろう。

 

少なくとも、船腹数だけを考えれば我が国の方が恵まれているのではないだろうか。ダブルデイDFO漁業海洋科学局長やデイヴィスIOS所長が提案している様に日加両国で研究専用船の航海日数を互いに融通しあい船舶の無駄な移動を最小限度にしたいと言う試みは一考の価値があると考える。研究能力、搭載機器を比較して同等の船舶を互いに指定し、北洋の研究をしたい日本の研究者はカナダの船に乗り、南太平洋の研究を志すカナダの研究者は日本船に乗ると言う提案である。これまでも、小規模では行なわれて来たが、国同士の約束事として定常化しようと言うものである。

 

ii) 一般船舶に搭載可能な海洋観測機器

 

上述の様に船外に曳航するタイプと船上に固定使用するタイプがある。曳航タイプの機器開発はやはりカナダに一日の長が感じられる。船体工事を伴う様な観測では、エンジン冷却水を取り込む装置や船底加工をして流速計を取り付けてしまう等の面では日本の方が優れているのではないだろうか。カナダの材木運搬船を使った北部太平洋での海水の連続測定にしても日加の共同研究である。

 

可搬型の海洋計測機器はこれからも増えるであろう。特に大型のウインチやクレーン等を必要としない簡便なものはより精緻に、安価になるのではないだろうか。これにより既に一般船舶搭載機器になったとさえ思えるGPSと測深器(または魚群探知器)を併用する事で可搬型の海洋計測機器によって特定の海域を調査研究の対象とする事は可能になるであろう。

 

iii) 船舶以外の手法による海洋観測

 

人工衛星の活用はこれからも盛んになるであろう。しかし、海水中では電磁波は全く無力である。世界中の海水面を一瞥する種の研究には大変強力な手法である。前章でも触れたように、理想的には衛星データの利用で地球全体の海洋の状況を把握し、これに網の目の様に張り巡らされたSOOPによ

 

 

 

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