(4)地方港湾
DOTCを中心にUSAID、OECF、KFW、ADBの支援を得て、200港以上を対象にFeeder Port Projectが進められている。Feeder Portは他地域との連絡が海運のみの孤立した地域に立地する港湾である。政府はFeeder Portの改善や補修は経済開発や貧富の格差是正のため肝要なものとして重要視しており、今後この方針にのっとり整備が進められて行くこととなっている。しかしながら、このプロジェクトを推進していく立場にあるDOTCや地方政府とも技術スタッフの不足や経験不足により今後の港湾開発や管理・運営に多くの問題を抱えている。
3.5.2その他の課題
上述した開発課題の他に以下のような課題が挙げられる。
(1)安全性の向上
老築施設の改良や静穏度の改善は、多くの港湾で必要な施策である。また、船舶の大型化にも原因があるが、航路や泊地の水深・幅員・面積不足も大きな問題である。これらは安全性を無視することにもつながりかねないだけに、かなり重要な問題であるが、これらの改善による経済便益が必ずしも高くない場合が多く、しかもこれらの問題点は地方の中小港湾に多いだけになかなか改善がされない。
また、外国政府や国際金融機関の融資によって港湾施設の抜本的改善が進められてきた主要港湾についても、必ずしも十分な水準にあるわけではない。本課題は維持管理という側面が強いものの、開発課題とすべきものも少なくない。上で述べたが貨客混合流動の回避も重要な安全問題である。
(2)体制の整備
港湾の整備・管理・運営体制が整ってきたとはいうものの依然として確立されているとはいえない状況にある。特にPPAの将来の姿も見据えつつ、PPAとDOTC/地方政府との役割分担を明確にしていく必要がある。PPAが所管する港湾(PPAポートシステム)の位置づけ、またこれに属さない港湾をどのような形でどこまで地方政府に移管していくかはPPA憲章の見直しや移管に伴う地方政府の体制の確立との兼ね合いになるが、それらにはまだ相当程度の時間を要することになろう。この際、地方政府の監督指導に当たるDOTCも人材的にかなり不足しており、まずDOTCの組織的確立から図って行かなければならない。
(3)制度面の改善
大規模港湾における港湾荷役会社の競争の強化を目的として2社以上の体制の強化など、港湾荷役の効率を高め、より高いサービスを提供する様々な改善策が図られねばならない。また、施設整備を含めた港湾ビジネスへの民間セクターの参入に対し、PPAの今後の組織のあり方も含め検討する必要がある。