(3)結果
バイオレメディエーションが適用されなかったプロットにおいても炭化水素の生分解は起こっていたが、栄養塩のプロットの方が、統計的に見て大幅なアルカンの減少が2、4、8週目で見られ(栄養塩・微生物製剤のプロットでは、実験開始から2週間で、ほぼ50%生分解されたのに対し、コントロールでは10%)、PAHsの減少が8、14週目で見られた(2環、3環PAHsの消失率がもっとも高かった。4環PAHsは、6週間目になってもまったく変化がみられなかった)。栄養塩のみのプロットと栄養塩・微生物のプロットでは大きな違いはみられなかった。
すべてのブロックで、各プロットごとの窒素濃度を調べたところ、すべてのブロックの条件を同じにしたにも関わらず、ブロックごとにばらつきがみられた(表1参照)。平均値をとったところ、油のみのコントロールよりも栄養塩や栄養塩・微生物をまいたプロットの方が、窒素濃度が高かった。とはいえ、コントロールの窒素濃度は予想より高く(0.82mgL)、生分解率を最も高める理想値(1.5mg/L)に近かった。
デラウェア湾フラワービーチは、農地が近く、もともとの窒素濃度が高いのは、そこで使われる肥料が流出している可能性が高い。自然の有機体も比較的多く存在していた。
バイオレメディエーションによる人工的な生分解刺激は、十分に窒素や生分解バクテリアがある場合、あまり必要ないのではないか、と推測される。
つまり、現地の窒素量、生分解バクテリア量などを知ることがバイオレメディエーションの前に不可欠である。