日本財団 図書館


5.3 試験方法

 

(1)海浜模擬実験装置のセットアップ

海浜模擬実験装置(屋内タイプ)の概略を図5-3-1に示す。本装置は屋内に設置されており、水槽を収納した部屋の室温は20℃に設定した。また、本装置は2基の水槽及びリザーバータンク、並びに干満制御装置より構成されている。海水は、リザーバータンクにて、20℃に温度制御され、さらにエアーレーションにより溶存酸素を飽和状態にした後、各水槽に供給される。水槽の水位は水槽出口の干満制御装置により制御される。過剰に水槽に供給された海水は干満制御装置よりオーバーフローする。

水槽の内容積は1.5m3(幅1.5m、奥行き1.0m、高さ1.0m)である。水槽は底から10cmの箇所に樹脂製の板があり、底から10cmまでは空洞となっている。樹脂製の敷板の上に網を置き、その上に5cm程度小石を敷き、さらに底から77cmまで釜石地区にて採取した川砂利(粒径2〜10mm)を充填した。

その後、水槽内で底から27cm〜87cmの間(砂利表面から+10cm、-50cmの間で干満差が60cm)で干満周期が12時間の海水の干満を開始した。

なお、海水は釜石研究所に常時供給されている平田湾内の水深15mから採取した海水を利用した。

 

(2)原油の添加

予備試験で使用したものと同様の加熱風化原油を利用した。

満潮時に、両方の水槽の海水表面にそれぞれ加熱風化原油1,000gを注ぎ(写真5-3-1)、干満を4日間繰り返した。その際、満潮海面の油膜の状態を敏察した。添加された原油は最初の1日間は、満潮時、パッチ状態で海水表面に浮いていたが、次第に海水表面を拡散し、添加後3日目にはスリック(薄膜)状態で一様に広がった

 

(3)原油分解菌の植菌

原油分解菌を、20℃で、加熱風化原油2,000ppmを含むNSW(Natural Sea Water)培地(濾過海水に硝酸アンモニウム10g/L、クエン酸鉄0.02g/L、リン酸水素二カリウム0.2g/L、加熱風化原油2g/Lを加えたもの)で7日間培養した。1/5 Marinebroth(Difco)寒天培地上で測定したこの培養液は3×108CFU/mLであった。この培養液3Lを、原油を添加してから4日後、満潮時に各々の水槽に加え、よく撹拌した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION