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(4)考察

写真は白濁しているが、このフラスコ中に含まれるものは以下の通りである。

 

○海水

○栄養塩(窒素、リン)

○微生物菌体

○微生物による生分解活動中にできる界面活性剤(多糖類などの有機物)

○微生物による生分解活動中にできる老廃物(有機酸など)

○粒子状の油

 

上記の内、白濁の主な原因と考えられるのは、以下の点である。

○微生物菌体(2〜3×108CFU/mL以上)

栄養塩が十分で、培地の1%の炭化水素を加えた場合、2〜3×108CFU/mL以上の菌密度で濁ることが確認されている。

○界面活性剤の生成・蓄積

 

すなわち、栄養塩が海水に溶けても濁ることはなく、老廃物(有機酸など)でも濁らない。従って、上記の白濁の原因物質を除いて考えると、生分解率が高い場合、濁りはほぼなくなる。

これらのことからフラスコ内では白濁して透明ではないが、この白濁した海水は、自然界では限りなく海水色に近づいていく(界面活性剤(多糖類などの有機物)は他の微生物によって分解される)。

 

また、生分解が進まない理由としては、以下の点が考えられる。

○微生物の活動によって老廃物(有機酸など)がたまり、pHが下がる場合

(pHが4〜5程度まで下がることを試験で確認している)

○油以外の条件(栄養塩など)が整わない場合

○炭化水素の内、難分解性成分が残る場合

 

 

 

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