3.4.8 小型カラム試験
(1)目的
上述の試験は、主に海水中に分散した油分を対象としたものである。
一方、本プロジェクトでは、海浜等に付着した油を最終的な対象として想定している。そこで、砂利を充填した小型カラムに原油を投入し、海水を注入/排出することによって人工的に干満を模擬し、付着原油の分解試験を行う。
リンを十分に強化した培地を用い、カラムには水溶性の窒素源(硝酸ナトリウム溶液)を肥料として添加する。また、原油分解菌前培溶液を植種する。
(2)試験方法
試験は、直径約40mm、全長約500mmのガラス製カラムを用いて実施する。カラムには2.5〜4.0mmのふるいで粒度をそろえた砂利を見かけ容積375mL(充填高さ300mm)になるように充填した。
水相はリンのみを強化(45.6ppm as P)した海水とし、空気曝気により溶存酸素を十分に飽和したものを用いた。
培地はそれぞれのカラムの下端から注入し、水位が設定上限に達したら同様に下端から排出することによって干満を模擬した。なお、水位上限は砂利表面よりも上側に設定し、満潮位において全ての砂利が水没するように設定し干潮時は海水を全て排出するよう設定した。干満の1サイクル(水位が下限から次の下限に達する時間)は約12時間である。なお、加熱風化原油添加量はカラム当たり0.5mL(約450g)とし、水位が上限に達した時に水面に滴下した。
コントロールカラムを除き、原油添加から1日後に全てのカラムに原油分解菌前培養液5mLを満潮時に植種した。窒素源として硝酸ナトリウム水溶液(132ppm as N)1mL又は1/4mLを植種と同時に添加した。更に一部のカラムには培養開始後15日後にもう一度同じ窒素源を1/4mL追加した。試験条件を表3-4-10に示す。
培養終了後、カラムから充填砂利を取り出し、ソックスレー/クロロホルム環流装置で残留油分を抽出する。抽出油分は秤量分析等に供する。