3.13 ロランC受信機
3.13.1 概説
ロランC受信機は、ロランC送信局からのパルス電波(100kHz)を受信・計算し、自船位置を表示する装置である。自船位置は、緯度経度値やLOP値(送信局からの自船までの距離を電波伝搬時間で表す。)で表示される。
ロランCシステムが誕生したときと比べ、マイクロコンピュータの利用により、本装置の操作性・性能は、飛躍的に向上している。最近のロランC受信機では、自動チェーン選択、自動従局選択に加え、自動電波捕捉及び追尾の機能も付加されているので、自船位置の測定は、最初に送信局を指定するだけの簡便な操作により、自動的・連続的に安定して行われる。
電気的特性としては、追尾局数は主局と従局5、設定完了時間は信号状態により異なるが約3分、最大追尾速度は80ノットであり、表示単位としては、時間差0.1μs、緯度経度0.01分、船速0.1ノットが標準的である。
ロランC送信システムは、主局と2局以上の従局で構成されている。そのサービスエリアは、主局から1,000〜1,500海里程度をカバーし、測位精度は、30〜300m程度となっている。
最近の測位システムはGPSへ移行しつつあるが、現実には、ロランCシステムは,地上系測位システムとしての位置付けが確立しており、各国においても整備・拡充が行われている。
ロランCシステムは、日本近海においても、国際協力チェーンの名の下に、再構築が行われている。日本と韓国の送信局が結ばれネットワーク化が行われ、また、中国は3局のシステムを完成させている。ロシアも、ロランCに類似のシステム「チャイカ(CHAYKA)」チェーンのネットワーク化を進めている。