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3.3 自動衝突予防援助装置

 

レーダーは、3.2で述べた電子プロッティング機能により、物標の検出と衝突予防にも使用されている。衝突予防は、他船などの物標の位置をプロッテイングすることにより、その将来位置を予測し、危険かどうか判定している。これらの作業をコンピュータで自動処理するのが、自動衝突予防援助装置(ARPA)である。

なお、国際的な性能基準はIMOのA823決議で、国内的には船舶設備規程や無線設備規則で定められている。

ARPAの動作概要は次のとおりである。

(1)レーダーで得られた物標(他船)の位置データの信号はデータ処理器で処理され、自船からの方位と距離の信号としてコンピュータに転送される。

(2)電気的に一定時間間隔で検出される物標の位置データを、先に検出された物標の位置データと比較し、同一物標であるか否かを判定し、同一であればその位置データの変化量を計算するため、同一物標ごとにデータをファイルする。

(3)同一物標のデータファイルから、目標の速度、針路を算出しする。レーダー表示面上に物標(他船)の動きをベクトル表示(真・相対ベクトルの切換可能)する。

(4)物標の速度、針路から、自船に最も近づく点(CPA)と、それに至るまでの時間(TCPA)を計算する。

(5)あらかじめ自船の状況に応じて設定した最小CPA、及び最小TCPAと比較して衝突危険の有無を判定する。

(6)表示面上に、どの物標が危険船であるかを表示し、衝突の危険船がある場合は可視可聴警報を発し操船者に注意を促す。

ARPAの画面表示について、ベクトル・図形表示の一例を<図3.3.1>に、文字表示の一例を<図3.3.2>に示す。

 

 

 

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