2.2 非常電源
2.2.1 電源の種類と性能
-1. 船舶設備規程(第229条及び300条)では、国際航海に従事する旅客船、係留船及び総トン数3,000トン以上の内航ロールオン・ロールオフ旅客船には、次のいずれかを独立した非常電源として装備するよう規定されている。
(1)次に掲げる要件に適合する蓄電池
(a)常に必要な電力が充電されているものであること。
(b)電圧を定格電圧の(±)12パーセント以内に維持しながら給電できるものであること。
(2)次に掲げる要件に適合する発電機
(a)独立の給油装置及び管海官庁が適当と認める始動装置を有する有効な原動機(引火点が摂氏43度以上の燃料を用いるものに限る。)によって駆動されるものであること。
(b)主電源からの給電が停止したとき自動的に始動し、45秒以内に定格出力で給電できるものであること。
また、外洋航行船(国際航海に従事する旅客船を除く。)、内航ロールオン・ロールオフ旅客船(3,000トン未満)及び国際航海に従事する総トン数500トン以上の漁船には、次のいずれかを独立した非常電源として装備するよう規定されている。
(1)上述(1)(a)及び(b)に掲げる要件に適合する蓄電池
(2)上述(2)(a)に掲げる要件に適合する発電機
一方、NK鋼船規則(H編3.3.3)では、次のいずれかを独立した非常電源として装備するよう規定されている。
(1)上述(1)(a)及び(b)に掲げる要件に適合する蓄電池
(2)上述(2)(a)及び(b)に掲げる要件に適合する発電機(ただし、(b)に掲げる要件に適合しない場合、2.3の臨時の非常電源を装備することでも良い。)
2.2.2 給電負荷の種類と時間
利用できる電力は、同時に運転される負荷を考慮に入れ、非常時の安全上不可欠なすべての負荷に十分給電できるものである必要がある。
船舶設備規程(第229条〜300条の2)の要約を<表2.2.1>に示す。なお、NK鋼船規則(H編3.3.2)では『SOLAS条約付属書(?〜V章)の要求による』と規定されており、船舶設備規程と同等である。