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3. 干潟

 

河口域や湾の奥部の潮間帯には、川から流れ出た砂泥が堆積し、広く平坦な砂泥地ができる。干潟とは、このような場所が千潮時に海面上に姿を現したものを指す。

 

干潟にはその成因から、湾などの入江にできるものと河口にできるものと2つのタイプに分けることができる。海流や川に運ばれて堆積した干潟は、チッソやリンなどの有機栄養分が多く含まれているため、多くの底生生物が生息しており、これらの生物を餌とする野鳥などの集まる場所となっている。

さらに干潟に生息するバクテリア・ケイソウなどの植物プランクトンは海洋生物・幼性である動物プランクトンなどによって有機栄養物が分解され、水質の浄化にも役立っている。

 

砂や泥ばかりの干潟ではあるが、渡り鳥をはじめ多くの生物にとっては、貴重な場所である。これまで、大阪湾に流れこむほとんどの河川は、コンクリートの護岸で固められ、川の水は効率よく海に流れこむようにされているので、潮の干満にともなって海水が出入りするような湿地、つまり干潟もほとんど見られなくなってしまった。

 

大阪湾では、沿岸域における産業の発展と共に自然の干潟が埋め立てられてきたが、今ではその重要性が認識され、各地で人工の干潟が計画造成されてきている。しかし、まだまだ干潟造成の技術や効果の蓄積は少なく、今後とも干潟造成後の魚介類の生育に関心がもたれる。

 

現有している干潟として、大阪府泉南地区の男里川の河口および兵庫県淡路島由良地区の成ヶ島周囲には小規模であるが唯一の泥質の干潟が残されている。

特に、下記の貴重種に属する甲殻類、塩性植物が見られる。

 

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(その他:カクベンケイガニ、ユビアカベンケイガニ、アカテガニ、クロベンケイガニ、ハマガ二、巻貝類)

 

 

 

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