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(3)オゾンによるダメージ

?植物プランクトン

表?.4.3-6および図?:4.3-6には、オゾンによるクロロフィルaおよびフェオフィチンの変化を示した。なお、各図表は、オゾン注入1時間後および24時間後のデータと、オゾンを注入せずに装置を稼働した場合の同じ経過時間のデータを対照として併記し、比較するように表示した。なお、巻末の資料5-3には、種別細胞数等の分析結果元表を収録している。

変化傾向は、クロロフィルaおよびフェオフィチン共に同じである。クロロフィルaとフェオフィチンは、両港湾における最低濃度である初期オキシダント濃度0.12mg/L(大阪南港)および0.24mg/L(鹿島港)では、明瞭な減少傾向は認められずダメージを受けていない。それが0.60mg/L(鹿島港)になると対照の1/10と頭著に減少し、0.84田g/L(大阪南港)以上では、1時間および24時間後共に検出限界以下で完全にダメージを受けている。

したがって、クロロフィルaおよびフェオフィテンでみるオゾンによる植物プランクトンの殺滅濃度は、オキシダント0.84mg/L程度と考えられた。

表?.4.3-7および図?.4.3-7には、オゾンによる植物プランクトン(全植物プランクトン・有殻渦鞭毛藻)の変化(正常細胞とダメージを受けた細胞の変化)を示した。

全植物プランクトン細胞数でみると、両港湾における最低濃度であるオキシダント濃度0.12mg/L(大阪南港)および0.24mg/L(鹿島港)では、ダメージを受けている細胞は少なく、ほとんど影響を受けていない。それが、0.60mg/L(鹿島港)および0,84mg/L(大阪南港)になると多くの細胞にダメージが認められるようになり、6.80mg/L(大阪南港)ではほとんどの細胞がダメージを受け、10.70mg/L(鹿島港)の24時間後では全ての細胞がダメージを受けている。

有害プランクトンのAlexandriumが属する有殻渦鞭毛藻は、最低濃度の0.12mg/Lから細胞にダメージが見られ、0.60mg/L以上は全ての細胞に何らかのダメージが見られるようになる。

以上の結果から、全ての植物プランクトンに対しては、オキシダント濃度1mg/L以上、有害プランクトンのAlexandriumが属する有殻渦鞭毛藻に対しては、0.60mg/L以上でダメージを与えると考えられる。

なお、図?.4.3-8には、一連の実験(装置およびオゾンによるダメージ実験)におけるクロロフィルaと植物プランクトン正常細胞数の関係を示した。両者の関係は、比較的高い相関関係(r=0.8927)にあり、植物プランクトンに関する本実験の評価方法および結果は妥当性のあるものと考える。

 

 

 

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