V 安全対策(案)の検討と今後の課題
本調査では平成7年度における来島海峡についての基礎的な調査を踏まえ、平成8年度においては潮流場の把握に努めるとともに、様々の観点から来島海峡通航に対する航行安全性の評価方法を提唱した。平成9年度では、表V-1に示す検討課題について調査するため、操船シミュレータ実験ならびに海上交通流シミュレーションを実施して、来島海峡両水道の航行状況にこれらの評価方法を適用し、現状(順中逆西)の問題点、および航法を右側通航とした場合に新たに発生すると思われる問題点等を確認することができた。
以下に、航行安全の向上のために新たに開設された来島海峡海上交通センター(以下、来島マーチスという)の概要を紹介するとともに、表V-1に示した課題等への対応(案)と、今後の課題を整理した。
1.来島海峡海上交通センターの利用
来島マーテスは平成10年1月1日から運用を開始し、海上交通情報の提供と航行管制の業務を行っている。
通峡船舶が定められた航路通報・位置通報を確実に実施し、来島マーチスから得られる情報を積極的に活用するとともに、通峡時には国際VHF等により来島マーチスとの連絡手段を常時保持することによって航行安全の向上が期待できると思われる。
来島マーチスの航行安全確保に果たす機能は、来島海峡付近を航行する船舶が提供する情報と協力に依存するところが大きい。来島海峡を通峡しようとする船舶は自身の安全を確実にするためにも、位置通報を確実に行うとともに、来島マーチスとのコミュニケーションの維持に努める必要がある。
したがって、来島マーチスの業務内容等を広く周知徹底することが重要であり、以下にその業務の概要を示す。