5)測位誤差
大型船2回目では、水域D(ウズ鼻の南側水域)で航路を外れることとなったが、これは測位に誤りがあった訳ではなく潮流の影響により変針が遅れたためである。大型船3回目では、潮流の影響を考慮して航路内を航行することができた。従って、南流時に西水道を南航する場合にも、精度よく測位できる状況であったと言える。
6)シナリオ6(右側通航:南流時・西水道・南航)に対する考察
南流時に西水道を南航する場合には、小島付近あるいは馬島付近の水域において、圧流される方向に存在する地形の影響により操船上の負担が高い状態が継続する。特に大型船については小島付近の変針時に他船が存在していることにより、地形による制約と他船による制約があいまって変針等のタイミングを誤ると乗揚げ等の危険に陥ることが分かった。
さらに、潮流の影響からは小島付近での変針状況によっては水道内を蛇行してしまう可能性が潜んでいると推察され、ここでの変針には十分な注意が求められていると考えられる。生理的な反応では、回頭制御に対して負担を感じることが明らかになり、順潮による蛇行の危険性を裏付けるものであると考えられる。
以上のことから、南流時に西水道を南航する状況では、小島付近の変針点付近で他船を追い越すような状況は操船者に負担を強いるものであり、変針のタイミング判断を誤らせたり、あるいは変針そのものを制限してしまう可能性もあると考えられる。その結果、強潮流によって水道内を大きく蛇行してしまう危険性があると考えられる。