(5)交通影響からみた評価(航路出入り口付近の評価)
1)評価方法
順中逆西の航法に従った場合の問題点として、南流時における航路出入り口付近の交差が挙げられている。平成8年度に調査では、海上交通流シミュレーション手法により航路出入り口付近の海上交通を対象とし、主として推定困難度を用いた評価を実施した。
推定困難度とは、避航操船空間閉塞度と避航操作量を説明変数とする回帰式で求められる、操船者の航行環境に対する困難感を表すものである。
海上交通流シミュレーションにおいては、実態観測に基いて最輻輳時間帯における交通流をモデル化し、風、潮流の無い条件下における左側通航(順中逆西に相当)と右側通航を再現、来島海峡航路東口付近ならびに西口付近における航行船舶個々からみた推定困難度を求めた。
2)評価結果
平成8年度の海上交通流シミュレーションにおける評価結果を以下に抜粋する。
i)来島航路東口付近
各航行船舶の最大値を抽出して比較した場合、北流時(交差なし)には負担を感じ始める推定困難度5以上の出現頻度は低くなり、特に困難と思われる推定困難度7以上の発生も抑制され、交通環境の改善効果を伺うことができる。
ただし、右側通航とすることによって、航路出入り口東方においての改善は顕著であるが、航路内においては悪化する区域が認められる。これは、同航の船舶が集中することに起因すると考えられる。
