(2)順中逆西:西水道・南航(北流時:シナリオ2)の場合
1)環境ストレス
操船環境ストレス値に着目すると、大型船・小型船とも水域B(小島の東側水域)に入ってから増加傾向し、水域Bと水域Cの境目(小島南端を航過した)あたりでピークを迎え、以降は減少傾向にある。値の増加は、小島沖で右転(南下の開始)することによって小島、引き続いて馬島へと接近したためであり、値の減少は、小島南端を航過したあたりから西水道の南側水域が望めるようになったためと思われる。
ただし、大型船と小型船とで操船環境ストレス値の減少傾向に差異が認められる。大型船の場合は水域C(小浦埼からウズ鼻付近の水域)に至っても値は暫く高い状態で推移しているのに比べ、小型船では水域Cに至る手前から値の減少が始まっている。この変化傾向の違いは大型船・小型船の西水道内における航行場所の違いによると推察される。即ち、大型船は水深の関係から馬島よりを航行したために高い値が継続し、一方で、小型船は水深を特に考慮する必要がなく、かつ、後方からの同航船に進路を譲るために小島よりの進路とした。その結果、早い段階から西水道の南側水域を望むことができ、値が減少し始めたものと考えられる。
大型船の交通環境ストレス値に着目すると、水域Aから水域Bにかけて(小島の変針点付近の水域)と水域C(小浦埼からウズ鼻付近の水域)において高い値を示している。小島変針点付近の値の増加は、先行する同航船を追い越したためであり、小浦埼〜ウズ鼻間の値の増加は、西水道の最強流速域にさしかかったために船速が漸次低下し、先に追い越した同航船と接近する状況となったためである。
小型船の交通環境ストレス値に着目すると、大型船と比較して低い値で推移している。これは対水速力の違いから(設定はそれぞれの操船者の判断により大型船が15ノット、小型船が12.5ノットとされた)、時間的な余裕が生じていたためと考えることができる。小島変針点付近までの水域における値の変化傾向には、値の大小はあるものの、大型船との類似を認めることができる。しかし、小島付近で変針した後の変化傾向は明らかに異なっている。これは先述した航行位置の違い(即ち、他船との出会い状況の違い)によるものと考えられる。
以上のことから、北流時に西水道を南航する場合において、小島付近での変針する際には同航する他船の存在が操船者にとって負担となり、また、特に水深への配慮から馬島寄りを航行する大型船の操船者にとっては、逆潮による速力低下・馬島と同航船による閉塞状況により負担を強いられる可能性があると言える。
2)生理的反応
大型船・小型船ともデータ欠測
