ただし、操船の結果として、最大でも誤差25m程度で測位できる状況で航行することが可能であったと言える。
6)シナリオ1(順中逆西:北流時・中水道・北航)に対する考察
大型船の環境ストレス値は中水道の南側から最狭部にかけて基準値をこえており、総じて小型船に比べて大きくなる傾向を認めることができる。大型船と小型船の環境ストレス値の違いは、主として最狭部南側の水域における追越し動作の有無によるものであった。
操縦シミュレーション(2船間相互影響)の結果からも当該水域については、危険が潜んでいることがうかがえる。
一方で、潮流の影響は小型船の方が大型船に比べて大きいと認められる。この違いは、運動性能の差異による他、小型船は速力を減じて先行する同航船との船間距離を図ったことから、潮流の影響を強く受けることになったからと考えることができる。
したがって、北流時に中水道を北航する場合には最狭部の南側水域付近での追越しは避けるべきであるとともに、先行する追越し船との船間距離を確保するために速力を減じると潮流の影響が強くなることに注意する必要があると言える。
中水道最狭部の北側水域で西に変針したところで、潮流影響が増加する傾向が認められた。北方向(津島方向)への圧流があることから、ここでの変針のタイミングに留意すべきであるとされた。追越しの危険(操縦シミュレーション)では、この付近での追越しでは側方距離は100m以上であったが、被追越し船と追越し船の変針動作の如何によっては、圧流によって2船が接近する可能性があることに注意する必要がある。